子育てでしんどかったことって?と聞かれたら、私は真っ先に「離乳食!」って答えます。
わが家の赤んぼは、離乳食を拒否する頑なな赤んぼでありました。生後5ヶ月で離乳食を始めてからまともに食べるようになるまでの1年あまり、毎日のように作っては捨てることを繰り返し、一時期は思いつめすぎて離乳食ノイローゼのようになったこともありました。
が、赤んぼとの戦いが終わって振り返れば、あそこまで思いつめる必要なんて全然なかったように思うんですよね。
赤んぼの食の実態をよく知らず「食べなきゃいけない時期なんだから、食べさせなきゃいけない」と変に自分を追い込んで、自縄自縛になっていたこともかなり大きかったと思います。
今回は、そんな赤んぼと付き合った体験談と、当時知っておきたかった知識をまとめました。今まさに離乳食で頭を抱えている方に届きますように。
娘の離乳食拒否との戦いの歴史
まず、娘の離乳食拒否との戦いの歴史を時系列で紹介します。
生後5ヶ月で離乳食を開始
10倍がゆから離乳食を開始し、一口目で吐き出されて以来、断固たる離乳食拒否の期間が続きました。作っては捨てる、悪夢の日々の幕開けです。
乳児健診や、自治体の離乳食の講習会など、相談できそうな機会には進め方も相談しましたが、ノウハウでは悩みは解決しませんでしたね。
栄養士さんがうちの娘の顔を見て、「これは食べない顔には見えないよ!絶対に食べる子だよ!」ときっぱり言い切ったことはいまだに覚えてます。
生後10ヶ月で好物発見
好きなものを少量なら食べるようになりました(いちご、プレーンヨーグルト)。でもそれ以外のものはあいかわらず食べませんでした。
当時は「このままではいちご貧乏になる……」とか言ってたっけ。
この時期になると、支援センターなどの同月齢のママたちの話題が食べること前提で調理法とかの話に染まるのがキツかったです。食べてないのは自分とこだけなんじゃないかと思えてました。食べない子って意外といるし、そういうママは言葉少なめに隠れてて、Twitterなんかで叫んでると思いますよ。←私🤣
1歳で保育園に通い始める
保育園に通い始めましたが、保育園でも離乳食を拒否し、ミルクばかり飲んでいました。
ミルクばかりだと体力や抵抗力がつかないからと担任が心配し、何度か話し合いが持たれ、保育園での進め方と、自宅での進め方のすりあわせをしました。
1歳2ヶ月で保育園では離乳食を食べるように
保育園では離乳食もおやつも完食するようになり、ミルクを卒業しましたが、自宅ではあいかわらず離乳食拒否のおっぱい星人で、一口食べることが奇跡でした。
保育園では食べるのが当たり前になってきていたので、担任には家ではほぼ食べないことが信じられなかったらしく、もっと頑張るよう言われたり、けっこうな針のむしろでしたね……
1歳6ヶ月で断乳、家でも食べるように
母子ともに涙の断乳。
翌日には離乳食をペロリと完食するようになりました(←あっさり)
栄養士さんの言ったとおり、ほんまにかなり食べる子やった……
娘の離乳食拒否を経験して分かったこと
時系列で書くと、意外とあっさりしてますが、実際は生後5ヶ月から1歳半までは毎日作っては捨てる日々で、いつ抜けられるか分からない真っ暗闇の中にひとりでいる気持ちでした。私は地蔵菩薩の化身にお供えをしているんだ、ほら赤んぼってお地蔵さんに似てるし!……とか考えて気をまぎらわせてましたが、全然まぎれないし。笑
娘の離乳食拒否を振り返ってまず思うのは、何をしても食べてくれないおっぱい原理主義者は確かに存在するし、効果的な対策は特にないということです。
……いやマジで。
おっぱい原理主義者に効果的な対策はない
娘の離乳食拒否に悩んだ間、何もせず手をこまねいていたわけではありません。あれがいいと聞けばあれを試し、これがいいと聞けばこれを試し、一応の努力はしていました。
見事にうまくいかなかったけど、こんなことを試しました。
- タイミング:時間帯、ミルクやおっぱいとの順序
- 椅子:ひざの上、バウンサー、ベビーソファ、ローチェア(足裏が床につかない場合は踏み台も)
- 場所:家の中で部屋を変える、ベランダ、公園、フードコード、レストラン
- 食材の種類・加工のしかた:茹で時間、潰し方や裏ごしの仕方、味つけ、ベビーフードならメーカーや対象月齢の変更
- 食器:お皿・さじ・おぼんを変える、指で食べさせる、親のお皿から目の前で分ける
- お食事エプロン:素材など
- あげ方:大人があげる、赤んぼに好きにさわらせる
- メンバー:母のみ、母と父、親戚や友人と
ま、見事にうまくいかなかったけど……orz(←2回目)
このとおり、赤んぼに食べないという信念があれば何をやっても食べませんし、その場合は食べる気になるまで気長に待つしかありません。
また、食べてくれることを期待すると食べてくれなかったときの絶望が大きいので、毎日の儀式として離乳食あげとくか~程度の心持ちでいた方が楽です。もはやお供え物の精神。
赤んぼじゃなくてお地蔵さん!
健康に育っていれば大丈夫
とにかく食べない期間が長かった娘ですが、成長曲線はど真ん中より少し体重が重いくらいで、乳児健診でも栄養状態に起因する異常を指摘されたことはありませんでした(O脚は指摘されましたが、ビタミンD欠乏に起因するくる病ではなかった)。栄養をしっかり取って健康に育っていたということです。
でも、母乳だけではだんだん栄養が不足してきますし、食事は生存に直結するところなので心配は尽きず、乳児健診や予防接種、任意参加の栄養指導や育児相談などで子どもの専門家(小児科医、看護師、保健師、栄養士、保育士など)に相談できる機会があるたび「娘が離乳食を食べない」と言い続けました。健康状態に問題がないことを確認してもらえ、食べさせるためのアドバイスをもらえるのはありがたかったです。
ただ、相談しても状況は変わらなかったし、気持ちはやっぱり辛いままでした。専門家は現時点の状態に基づいた現時点でベストな方法は教えてくれますが、未来についての見通しを示してくれることはあまりなかったので。まぁ無責任なことは言えませんからね……
断乳で解決したけど後悔
わが家の離乳食拒否問題は1歳半で断乳して解決しましたが、娘が3歳になった今でも心の中に苦い思いが残っています。
当時、少しだけ言葉を発するようになっていた娘が、断乳からしばらく「おっぱぁ……」と弱々しく悲しげに呟きながら、私の胸にすがりついていたことが今でも目に浮かびます。心身ともにヘトヘトで限界がきていたので、断乳もやむを得なかったとは思いますが、もっと他の選択もあったのかもと今でも思うんですよね。
最近では(可能なら)母乳を2歳まであげることが推奨されているので、その点でもやっちまった感満載ですわ。娘は望んでいたし、母乳も出てたのにね
食べない子どもを理解し信頼できるだけの知識があればよかった
食べない子どもを理解するための本として、少し古い本ですが「どうして食べてくれないの?」という本があります。
この本は、子どもの出生直後から子ども時代全般にわたって、子どもが正しい食生活を送るためのルールを交えながら説明した本で、子どもは本来、何をどれだけ食べればいいのかわかる能力があることや、その科学的根拠を教えてくれます。
↓レビュー書きました↓
https://tsumurinote.com/why-refuse-eating/
もう一冊、ほぼ同じタイトルの「うちの子どうして食べてくれないの?」という本も読みました。
こちらは小児科医の書いた本で、診察室での母親からのよくある質問を軸に、子ども栄養や食行動を科学的根拠に基づき教えてくれる本です。1冊目の本の栄養の部分をすごく深掘りした感じです。
これらを読むと、私にあったのは親の一方的な都合ばかりで、娘に心を寄せて考えていなかったことが身につまされ、それが本当に悔やまれました。私が「どうして食べてくれないの?」と悩んだ日々は、娘にとっては「どうして食べなきゃいけないの?」と悩んだ日々だったかもしれません。
当時の娘が、好きなものなら/保育園なら/断乳したら食べたことや、それより前に哺乳瓶を嫌がった期間があったことを思うと、娘の中にはずっと「私のごはんはおっぱい」という強い信念があり、選択肢におっぱいがあれば当然おっぱいを選び、離乳食しかなければしかたなく離乳食を食べて栄養的には足りていたということだったのでしょう。
そんなことは思いもかけず、私は保育園では食べられるのに自宅では授乳のせいで食べてくれないというネガティブな想いばかりをつのらせて断乳をしてしまいました。もしもっと早くこれらの情報に出会っていたら、娘が健康でいる間は娘の判断を信じてもう待つというポジティブな選択もできたかもしれません。
娘の「私はおっぱいがいい!」という想いを、もっと上手に受け止めてあげられていたら、もっとよかったかもしれないな、と……涙
WHO(世界保健機関)は離乳食ではなく補完食と言っている
なお、悩んでいた当時は知りませんでしたが、WHO(世界保健機関)はこの時期の子どもの食事を離乳食と呼ばず補完食と呼び、母乳では取れない栄養を補うためのものとしているので、私の心配は完全に的外れだったと言えましょう。
むしろ逆行することをやっちまったとしか……!ギャー!
WHOの資料は、和訳を日本ラクテーションコンサルタント協会のサイトで見ることができますよ(上のリンク先の3つ目の日本語版)
また、ブログ「ちょっと理系な育児」でも、かなり詳しく紹介されています。
https://rikei-ikuji.com/?p=2722
ほんまに、知ってればねぇ……と思いますね
様々な食品に触れる機会を与えつつ気が向くのを待つ
娘の長い離乳食拒否の経験から言えることは、
- 親にできることは様々な食品に触れる機会を与えること(食べさせることではない)
- 子どもがその気になれば食べる(食べる必要を感じるか、食べてみたいと思うか)
- 健康に育っていれば大丈夫(心配な様子があれば健診や小児科、育児相談などで聞く)
……ということです。
こんなありきたりの言葉、もう耳にタコができるくらい聞いて、嫌になるほど聞き飽きてると思うんですが、本当にこうでした。
そして、離乳食の心配に振り回されず、生後しばらくしかない貴重な授乳期を満喫する方が、絶対に楽しかったはずだとも思うんですよね。
離乳食の手作りにしても、ほどほどにベビーフードを利用して手抜きしたらよかったです。食べない時期って、言ってみれば手抜きのボーナスタイムなんですよ。子どもがもりもり食べるようになり、卒乳(断乳)を迎えてしまったら、3度の食事の支度は子どもの独り立ちまでノンストップなので、ほんまに惜しいことをしたと今は思ってます。笑
私はついつい深刻に考えがちなタイプですし、悩みの渦中にいるとなかなか発想の転換は難しいけど、もっとゆる~く構えていられたら、子育てってもっと楽しくなるんじゃないかなと切に思いますし、そんな気持ちでこのブログを書いてます。
最後まで読んでいただきありがとうございます。ぺこり。