こんにちは、つむり @TsumuRi です。
当ブログでは、2018年に起こった大阪北部地震の体験記を数回に分けて書いてきました。
地震直後からガスが復旧するまでの間、さらに生活が元に戻っても「しんどい」と感じたことは多々あります。
でも、地震の直後にワンオペ育児をしていなかったらもっと楽だったのではないかとよく考えるんですよね。そこで本記事では、イヤイヤ期のワンオペ育児に起因する5つの「できない!」について傾向と対策をまとめます。
- 片付けできない!
- 買い出しできない!
- 並べない!
- 食べない!
- 休めない!
ワンオペ育児はろくなものじゃないけど、災害時だからこそワンオペ育児になることもあるので、今後の備えが大切だと思いました。
わが家の被災状況
わが家の被災状況を簡単に紹介します。震度のわりに被害は少ない方でした。
自宅の状況 | 震度6弱地域、鉄筋コンクリート造の古い集合住宅の3階 |
自宅の被害 | 建物には大きな損傷なし(ただし表面には細かいヒビ) 室内の被害はメタルラックの転倒、ものの散乱、割れ物の破損程度。 |
ライフライン | ガスは地震から6日目まで停止。水道と電気は問題なし |
好況交通機関 | 電車は地震当日は運休、翌日から運行 |
道路状況 | 地震前から主要道路が混雑する地域で、地震による混乱と悪天候により通常より混雑。 住宅街の細い道は地震の被害で通れなかった場所あり |
周辺店舗 | 地震発生から3日目頃まで、水、保存食、災害対策用品、お弁当・お惣菜がお昼には売り切れ。 4日目以降は午後でも買えるように。 |
宅配便 | 遅れはあったが配達可 |
近くの文化住宅や古い戸建ては震度6弱の揺れに寄り瓦が落下したり壁に大きなヒビが入ったりと被害が大きく、古い木造住宅の脆弱さと古くても鉄筋コンクリート造の頑丈さを思い知りました。
このような状況下、イヤイヤ期の娘のワンオペ育児によって5つの「できない」に遭遇しました。
イヤイヤ期ワンオペ育児のできない①片付けできない!
イヤイヤ期のワンオペ育児をしていると、片付けができません。
イヤイヤ期の子どもは「そっちはダメ」程度では聞いてくれないので、自宅の建物自体は無事でも、室内の状況(高い家具の転倒、ガラスの散乱、水漏れなど)が酷い場合は自宅に入れなくなります。
片付けできないときはどうする?
自宅内に安全かつ子どもを囲っておけるスペースが確保できなければ、家族の帰宅までは避難所や被害の小さい友人宅などで過ごすのが比較的安全と思います。
事前対策はどうする?
一部屋だけでも安全地帯を作ってベビーゲートなどで仕切ることができれば、ワンオペでも安全地帯に子どもを待機させながら他の部屋を片付けられます。家具の転倒や落下物の可能性がない「なにもない部屋」を1部屋作っておくとよいと思います。
わが家は寝室を「なにもない部屋」にしました!
また、玄関から安全地帯までの通路の確保も必要です。
安全地帯までの通路が危険な状態だと子どもを連れて入るのは難しいため、理想的には建物全体を安全にしたいところです。
イヤイヤ期ワンオペ育児のできない②買い出しできない!
イヤイヤ期のワンオペ育児をしていると、買い出しが困難になります。
まったくできなかったわけではないですが、とにかく大変でした
うちの娘は素直にカートに乗るタイプなので多少はマシですが、抱っこじゃないとダメな子や歩きたいタイプの子の場合はより大変になると思います。子どもを抱っこすると持てる荷物は激減しますし、歩きたがってちょろちょろする子どもと常に手をつないで普段より混雑する店舗で買い物するのは至難の業です!
また、道路の混雑により車を出せない場合は持ち帰れる荷物が減ります。
私は自転車で買い出ししたので、前カゴに入る量に加え、ハンドルにぶら下げられる量しか持ち帰れませんでした。
多くの子育て家庭がそうであるように、わが家も2歳の娘を自宅でお留守番させることはありません(平常時でも)
娘が安全なスペースで昼寝しているスキに私だけ買い出しに行くことも一瞬だけ頭をよぎりましたが、私が離れた時に余震が起こったらと考えると、連れていく以外の選択肢はありませんでした。
それでも買い出ししたいときはどうする?
本当に物資がないときは、何としても買い出しするしかありません。
ありとあらゆるベビー用品、たとえば抱っこひもやベビーカーや、賛否両論あるけどハーネスを駆使して少しでも買い出しするしかないのです。
大阪北部地震は被害地域が狭く、公共交通機関や宅配便が生きていました。そこで、仕事に行く夫に近隣市町村での買い出しを頼んだり、通販を利用してカバーできました。被害規模が小さくて本当に幸運でした。
もっと被害規模が大きい場合はこの作戦は使えないので、やはり事前に備えておく必要があります。
事前対策はどうする?
地震の直後から慌てて買い出しなくてもいいように、ある程度の備蓄をしておくのが最善です。
イヤイヤ期ワンオペ育児のできない③並べない!
イヤイヤ期の子どもは待つことができないので、行列に並ぶのが難しかったです。
地震の直後からスーパーやコンビニなどに行列ができていましたが、行列に並ぶと娘は飽きてウロウロします。
ウロウロを防ぐため抱っこひもに入ってもらうと「おりる!」からの「ギャー!」が始まって周囲に迷惑になることも。
前頭前野が未発達なので、制止を聞かないのもある程度しかたないことですが、周囲がピリピリしていので針のむしろのようでした。
前頭前野は系統発生的にヒトで最もよく発達した脳部位であるとともに,個体発生的には最も遅く成熟する脳部位である。 一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つでもある。 この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。
出典:前頭前野 – 脳科学辞典
それでも並ぶならどうする?
待てる時間が短いので、なるべく空いているタイミングを狙って並ぶようにしました。行列の状況はLINEで教えてもらったり、TwitterなどSNSで情報を得たりです。
買い出しは空くまで待つと売り切れるので、混雑覚悟で突入するしかないのですけどね。
娘の「イヤ!」がいちばんの爆弾だったので、娘が寝ている間に抱っこひもに入れて並ぶのがいちばん楽だと感じました。
イヤイヤ期の子どもを担ぐには、耐荷重が大きく負荷分散のできるしっかりした抱っこひもが必須です。
野外の行列では、落ちている葉っぱや木の実で娘の気を引いて時間を稼ぎました。音の出ないおもちゃや絵本も使えると思います。あくまで公園内だからできたことで、車の往来がある場所で安全に待つことは難しいと思います。
車の往来がある場所ではハーネス付きのリュックを背負ってもらうと多少は安心感があると思います。振り切る子は振り切るかもしれませんが、ないよりはマシ。ハーネスは同じ子育て世代でも賛否両論ありますが、なりふり構っている場合ではありません。
わが家はハーネスがなかったので、胸ベルト付きのリュックに梱包用の紐をくくりつけました。大型犬用のリードも使えるかも。
大型犬用のリードを買うくらいなら子ども用のハーネスを買った方がいいと思うけど(笑)
「外に出るときはおかあさんと手をつないでね」のしつけが完璧にできればよいのですが、普段できていても災害時はどうなるか分かりません。無理をせず道具でカバーするのがいいと思います。
事前対策はどうする?
これについても普段からある程度の備蓄をしておくのが最善です。
備蓄があれば、お風呂など自宅ではどうしようもないものだけ並べばよくなるので。
イヤイヤ期ワンオペ育児のできない④食べない!
地震の直後から数日間、娘の食が細くなりました。
いつも食べているものを「イヤー!」で食べなくなったり、わずかに食べてから遊び始めたりが続きました。地震のストレスがあったせいかもしれません。
食べないときはどうする?
食べなくなった時期は大好きな食べ物(もはやお菓子でも食べてくれたら御の字)を与えました。
また、外に連れ出して気分転換させました。
事前対策はどうする?
こちらもある程度の備蓄をするのが最善です。
災害時だからこそ好きなものを食べさせてあげたい母心
好きな食べ物を備蓄することはもちろん、好きな食べ物を調理できる環境も必要です。
ガスも電気も止まったときに備えてカセットコンロがあるといい感じ。わが家のものは箱入りですが、ケース付きのほうが保管が便利と感じました。
イヤイヤ期ワンオペ育児のできない⑤休めない!
災害時のワンオペ育児はすさまじく休めません。
地震後の娘は、ストレスのせいかいつもより甘えてきたり、昼寝しなくなったり、夜の寝つきが悪くなったり、寝ても夜泣きで起きたりしました。娘本人が休めないばかりか、その相手をしている私も休めなくなってツラかったです。
休めないときにどうやって休む?
子どもが眠っている間は、親もなるべく横になって身体を休めるのが最善です。
ただ、片付けや余震への備えなどの作業が多いと、子どもの睡眠中がチャンスとばかりに動き回りがちになりますよね。
地震直後は火事場の馬鹿力で動けますが、2~3日も経つと疲れが溜まって動けなくなりますし、体調を崩すおそれもあるので要注意です。
とにかく休む!
事前対策はどうする?
事前の備蓄と安全対策を万全にしておきましょう。
地震後の片付けや余震の備えなど、地震後に発生する作業を減らせれば休める時間が増えます。
5つの「できない!」を解決するための3つの事前対策
5つの「できない!」を解決するための事前対策は3つあります。
- 安全対策
- 備蓄
- 災害時くらいワンオペ育児をやめる
事前対策①安全対策
身の安全を確保することはもちろん、「片づけられない!」「休めない!」という事態を避けるため、安全対策が大切と感じました。
わが家では家具の転倒対策はもちろん、ガラスの飛散や割れ物の落下防止、室内の水漏れ対策をしています。
家具の転倒対策
背の高い家具は、地震後に配置を見直し、固定具(つっぱり棒)を点検して締め直しました。
建物には揺れやすい方向があるそうなので、家具が倒れやすい向きになっていないか点検しました。配置については下記のリンク先に詳しく書かれています。
大阪北部地震では背の高い家具の上の方の開き戸の中身が飛び出したので、中身を入れ替えました。辞書などの重いものは下へ、飛び出してもダメージの少ない軽いものを上へ。さらに、開き戸にロックをつけようかどうか考えています。
片付けのところに書いたように、地震の際に安全地帯を一部屋用意すべく、寝室には棚を置いていません。
保育園のクラスメイトのおうちでは寝室のタンスがベッドの上に倒れたそうです。就寝中の安全確保のためにも寝室には背の高い家具を置かないことをおすすめします。
わが家の寝室の被害はゼロだったので、他の部屋を片付けるまで娘に待機してもらう部屋として役立ちました。言い聞かせても出てくるようならベビーゲートをつけるとよいと思います。
ちなみに、寝室の押し入れや天袋の中身は少し崩れた程度で飛び出すことはありませんでした。念のため中身を見直して重いものを下の段に移動し、襖を開けっ放しにせずマメに閉めるようにしました。
さらに、揺れで落下する可能性のある寝室の壁掛け時計を外しました。こちらも念のため。
あと気になるのはエアコンですが、壁掛け式のエアコンがいきなりドスン!と落下することはまず考えられないそうです。ホッ。
ガラスの飛散・割れ物の落下防止
窓ガラスと室内の棚のガラス扉に飛散防止フィルムを貼りました。
低い位置のガラス扉に子どもがぶつかったときの安全対策を兼ねられるので、子どもが生まれたら貼っておくといいと思います。
食器などの割れ物をすべて扉つきの棚に片付けることにしました。
大阪北部地震の前はシンクの上の水切り棚や、台の上に置いていた割れ物が落下していくつか割れました。
子どもは「キラキラ!」に寄ってくるので、割らないに越したことはありません。
台所の網棚になにも置かない家になりました
室内の水漏れ対策
大阪北部地震のとき、食器洗浄乾燥機を置いていたキャスター付きの台が1mほど動いてしまいました。もしもホースが抜けていたら部屋中水浸しになるところでした。
そこでホースが外れたときに自動で給水を停止するホースニップルを取り付けました。
集合住宅で水漏れすると下の家まで水浸しになる可能性があるので、洗濯機や食器洗い乾燥機など室内で蛇口を開けっ放しにして使用する家電の地震対策としては必須だと思います。盲点になりがちですが。
事前対策②備蓄:防災用食品+ローリングストック法で備える
わが家では防災用の長期保存食品+ローリングストック法で備蓄しています。
防災用長期保存食品はガスや電気が止まってもすぐ食べられる点がメリットですが、比較的高価なので大量にストックすると負担感が大きいです。また、災害時以外はしまいっぱなしになるため、いつの間にか賞味期限が過ぎることも。防災用長期保存食品だけで備えるとムダが多くなりがちです。
ちなみに非常食セット1人前×7日分で1.5万円……これが家族の人数分必要となると眩暈が。
そこでわが家では(というか最近のスタンダード)一部を防災用長期保存食品で備え、残りはローリングストック法で備えています。
ローリングストック法は日常使いの食品や日用品を多めに買っておき、先入れ先出しで消費しながら備蓄する方法。常に在庫が新鮮に保たれること、日常使い品なので必ず使い切れることから、負担感が軽減されます。
大阪北部地震の後からは、スーパーで売り切れがちだった商品のストックを増やしました。
ストック品は、果物・乳製品・パン、開封するだけの缶詰・お惣菜、解凍するだけの冷凍食品、野菜ジュース、ラップ、ポリ袋などなど。おむつやおしりふきなどのケア用品もちょっと多め(+1ヶ月分)にしてあります。離乳以前は粉ミルクやレトルト離乳食など多めに用意しておくといいと思います。
子どもの「食べない!」に備えて、子どもの大好きなものを揃えておきたいところです。
好きなものがごはんやうどんならば、長期保存品や冷凍品を温めたりゆでたりする必要が出てきます。電気やガスが使えなくなった時に備えてカセットコンロとボンベのストックが必要です。
加熱や調理が必要なものは食べるまでに時間がかかり、後片付けの手間もあるので、調理せずに食べられるものの方が便利なのは確かですが、温かい食べ物は身体を暖めてくれて気持ちも落ち着きます。スペースの許す限りいろんな種類を揃えるのがいいと思いました。
ちなみに食料だけでなく、子どもの服や靴はローリングストック的に備えることが可能です。
1サイズ大きいものを早めに買っておくことで災害時は少し大きめながら着せることができます。ジャストサイズを大量に買うのはお財布に痛いですが、少し大きめならムダになりません(※子どもが好みや気分で着てくれない場合を除く)
対策③災害の時はワンオペ育児をやめる
てか、災害時くらいワンオペ育児やめられないですかね?
5つの「できない!」のうち、「食べない!」以外はワンオペ育児をやめれば改善を見込めるのです。
災害時こそ休めない職業もあります。わが家も大阪北部地震の時はワンオペ育児でした。
ワンオペ育児をやめることは、働き方や人生そのものの見直し作業を伴うので、簡単にはいかないのも分かっています。
それでも、災害時の休み方や役割分担を話し合うことで、足りないものが見えてきますし、災害への備えを考える一助になると感じました。
最後に参考資料を紹介
今日は地震後にイヤイヤ期の娘をワンオペ育児して「できない!」と感じたことを軸に防災対策をまとめました。
最後に参考資料を紹介します。
東京都が作成した電子書籍はスマホやタブレットに入れておけます(無料)
3歳未満児、特に0歳〜離乳食完了までは成長に応じた備えが必要です。子連れで被災した経験を元にまとめられた防災の本は、備蓄だけではなく避難所生活を考える上でも参考になります。