フルタイム勤務だと思われがちな派遣社員ですが、実際は短時間勤務や週4日以下勤務など、パートタイム勤務が可能です。
私自身も週5日×6時間の時短勤務ですし、派遣仲間の中には、週4日は派遣、週2日は副業、残り1日は休日にしている剛の者もいます。
自由がすぎる。
パートタイム派遣(時短派遣ともいいます)は、フルタイム派遣よりも時間のゆとりがあり、それでいて社会保険にも加入できる(勤務条件によります)、メリットの大きな働き方ではあります。
でも実際に働いていると、時間的なゆとり以外の部分にデメリットを感じるのも事実です。派遣会社のサイトにはパートタイム派遣のよさばかり書いてあるし、こちらから聞かないと都合の悪いことまではなかなか教えてくれません。
そこで今回は、実際に時短で働いている派遣社員の目線からパートタイム派遣のデメリットをコッソリ紹介します。
パートタイム派遣とは
パートタイム派遣とは、フルタイムではなくパートタイムで働く派遣社員です。
厚生労働省の定義では、パートタイムとは「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」。フワッとしたした定義です。
派遣会社のサイトでは、「週2〜3日、半日程度から」働けるように書いていますが、実際に働ける日数や時間数は派遣先のニーズ次第です。
実態を知りたい方は、求人サイトで希望の日数・時間数の案件が存在するかどうか検索してみてください。
あなたらしい派遣のお仕事探しなら【リクナビ派遣】byリクルート
パートタイム派遣のデメリット
パートタイム派遣には以下のようなデメリットがあります。
- 稼ぎが少ない
- 応募できる求人が限られる
- 有期雇用契約のため身分が不安定
- 派遣会社で社保に加入できない場合がある
- 保育園や学童保育の入所調整に影響する
- 経験やスキルが伸びにくい
- フルタイムで働く気力体力がなくなる
稼ぎが少ない
最大のデメリットがこちら!パートタイム派遣の稼ぎはフルタイム派遣より少ないです。
稼ぎは時給×働く時間なので、当たり前のことではあります。短時間でもしっかり稼ぎたければ、より時給の高い案件を狙えるよう、スキルや経験を積まねばなりません。
応募できる求人が限られる
最近は派遣会社がパートタイム派遣を推してくれてはいますが、応募先や職種がフルタイム派遣に比べて限られるところがあります。
以下、私の個人的な経験ですが。
- 6時間勤務を派遣先に打診したら「フルタイムの人が欲しい」と断られた
- 週4日勤務を希望したら「この業種は週4日は厳しいので週5で」と派遣会社に断られた
派遣会社に希望を伝えた時点で派遣会社に断られたこともありますし、派遣会社がOKでも派遣会社から派遣先に打診した時点で派遣先に断られたこともあります。結局、パートタイム勤務のニーズがある派遣先がないと働けないってことです……
私は結果的に週5日×6時間になりましたが、本音では週4日×6時間にしたかったです。
時々有給休暇を使って週4日にしてますが、やっぱり週4日は楽です
有期雇用契約のため身分が不安定
これはパートタイム派遣のデメリットと言うより、派遣のデメリットですね。
派遣社員は数ヶ月単位の契約(有期雇用契約)の更新を繰り返しながら働くので、時短勤務の正社員と比べて身分が不安定です。最悪、1回目の更新で契約終了もあり得ます。
派遣社員にも期間の定めのない契約(派遣会社との無期雇用契約)は一応あるのですけど、パートタイム派遣の雇入れ時は有期雇用契約が一般的です。
派遣会社で社保に加入できない場合がある
勤務日数や勤務時間によっては派遣会社の社保に加入できません。
週の労働時間が加入条件を満たしていても、契約期間が短いこと(2ヶ月以内)を理由に加入させてもらえないこともあると聞きます。
健康保険・厚生年金保険の加入条件
社会保険の加入条件とは?書類や手続き方法まとめ【2023年版】|freee
A:75歳未満の正社員や会社の代表者、役員等
B:70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人
C:以下のすべてに該当する短時間労働者
・従業員数101人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している
※2024年10月から従業員数51人以上の事業所に変更
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
・学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
・月額の賃金が8.8万円を超える
家族の社会保険の扶養から外れる場合(年収130万円以上)で、かつ派遣会社の社保に加入できなければ自分で国保や国民年金を払うことになります。
国保や国民年金にはあまりメリットがないので、社保の加入条件を満たしているなら加入させてもらった方がよいと思います。
社保は派遣の闇!
契約前にキッチリ確認すべき
保育園や学童保育の入所調整に影響する
パートタイム勤務はフルタイム勤務よりも保育の必要性が低いと判断されるため、待機児童が多い地域では保育園や学童保育に入れない可能性が高くなります。
働き始めるタイミングで入所できれば安心というわけではなく、働き続ける中で年度ごとに継続入所申請を行い、年度ごとに入所調整が行われるので、自分よりも保育の必要性が高い児童がいれば途中で退所させられる可能性もあります。
毎年、結果通知の時期はドキドキしています
働く親の頭を悩ませ続ける待機児童問題、いいかげん解消してほしいものです…
経験やスキルが伸びにくい
パートタイム派遣は働く時間が短いため、フルタイム派遣と比べると実務量が少なくなり、結果的にスキルも伸びにくいかもしれません。
もちろん、個人の学ぶ力によるので一概には言えませんけどね
有期雇用契約は最長3年で満了しますし、無期雇用契約でも現派遣先との契約がなくなれば、次の派遣先探しが始まります。その頃には自分は現在より歳を取っていて、派遣市場には若い人が入ってきています。経験やスキルが不十分だと当たり前に若い人に負けます。
私も、業務を効率化して単位時間あたりの業務量を増やそうとか、空き時間にスキルアップしてより高度な業務につけるように(そして短時間でも効率よく稼げるように)しなきゃ!と思うことは多いです。
派遣会社が無料または低価格で提供している教育訓練講座を最大限に活用するのも手です。
バカみたいに高額な通信講座よりは、よほどマトモだしコスパもよいかと。
フルタイムで働く気力体力がなくなる
あくまで私の場合ですが、フルタイムで働く気力体力がなくなりました。
6時間勤務にすっかり慣れてしまったせいで、繁忙期に残業して8時間働くと疲労困憊になります。デスクワークなので体力的には大したことをしていないのですが、6時間で頭のスイッチが強制的に切れてしまう感じで、集中力を保つのがきつくなってしまいました。慣れって怖い。
いずれフルタイムで働く希望があるなら、パートタイムにどっぷり浸かりすぎるのもよくないかもしれません。
フルタイム派遣への移行は可能か?
ここまでに書いたとおりパートタイム派遣には隠れたデメリットがあります。
働く前にはデメリットを納得していたつもりでも、働き始めてからやっぱりフルタイム派遣にしておけばよかったと思うかもしれません。さて、そのとき、派遣先を変えずにフルタイムに変更できるのでしょうか?
働き始めてからの条件変更は派遣先次第
結論として、派遣先を変えずにフルタイムに変更できるかどうかは派遣先次第です。
派遣会社の営業担当者に尋ねてみたところ「派遣先との交渉は可能」との回答を得ました。派遣会社に相談はできるし、派遣先と交渉していただける可能性もありますけど、実際にフルタイムに変更できるかどうかは派遣先判断です。
自分がフルタイムで働きたいと考えたタイミングで、派遣先も同じように考えてくれていればwin-winな交渉にはなるでしょう。必ずしも意向が一致するわけではないので、派遣先を変えてフルタイム勤務とするか、パートタイムのまま同じ派遣先で働き続けるかの選択になってしまう可能性も高いです。
そのあたりの温度感は派遣会社が把握しているはずなので、気になる点は契約前に確認しておくとよいと思います。
パートタイム派遣のメリット
デメリットだけあげつらうのもアレなので、パートタイム派遣のメリットも挙げておきます。
私自身、パートタイム派遣のデメリットを感じつつもフルタイム派遣に戻る気はほとんどない程度にパートタイム派遣のメリットを享受しているわけですし。やっぱり、子育て中はデメリットを補って余りあるメリットがあると思うのです。
- 余暇が多い
- 社保に入れる(※勤務条件による)
- 一般的なアルバイト・パートより時給が高い
- 就職活動を派遣会社にサポートしてもらえる
- スキルアップを派遣会社にサポートしてもらえる
余暇が多い
パートタイム派遣の最大のメリットは余暇が多いことです。
体力的・精神的にキャパオーバーになりやすい人にはパートタイム勤務はいいと思いますよ。
小学1年生を育てている私の平日は、学童保育のお迎え後に宿題を見たり習い事の送迎をしたりとタスクが多く、夕食の支度と入浴を済ませたら歯磨きして読み聞かせして寝かしつけ、そのまま朝まで爆睡コースになることが多いです。
平日夕方以降は自分の時間はあまり持てず、翌朝、夫と子どもを送り出してから仕事を始めるまでの間が唯一のゆとり時間です。
フルタイム勤務だったらゆとり時間なんて持てないのでは…
私は時々、週の真ん中の水曜日に有休休暇を取ることがあるのですが、家族が家にいない平日休みは本当にリフレッシュできますね。週4日こそ理想的な働き方だと思います。余暇を持ちましょう!
ゆとり時間をしっかり自分のために使って更なるスキルアップを図ったり、副収入をがっつり増やしたりしたいですw
派遣会社の社保に入れる(※勤務条件による)
社保の加入条件を満たしていれば派遣会社の社保に入れます。
健康保険・厚生年金保険の加入条件
社会保険の加入条件とは?書類や手続き方法まとめ【2023年版】|freee
A:75歳未満の正社員や会社の代表者、役員等
B:70歳未満で週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、常時雇用者の4分の3以上である人
C:以下のすべてに該当する短時間労働者
・従業員数101人以上の事業所(特定適用事業所)に勤務している
※2024年10月から従業員数51人以上の事業所に変更
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムと同様)
・学生ではない(夜間学生、通信制は除く)
・月額の賃金が8.8万円を超える
Q1 雇用保険の加入の要件を教えてください。
Q&A~事業主の皆様へ~|厚生労働省
雇用保険の適用事業所に雇用される次の労働条件のいずれにも該当する労働者の方は、原則として全て被保険者となります。
1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 31日以上の雇用見込みがあること
健康保険や厚生年金の一部は派遣会社が負担してくれますし、将来の年金受取額は国民年金よりも良いです。
雇用保険に加入できれば、厚生労働大臣の指定をうけた教育訓練を受講・修了した場合に費用の一部を給付してもらえますし、失業した場合は失業給付も受けられます。
もちろん、産前産後給付や育児休業給付金なども受けられます。せっかく働くならば社保に加入できるように働く方が絶対にお得だと思います♪
一般的なアルバイト・パートよりも時給が高い
派遣社員の時給はアルバイトやパートよりも高いことが多いので、比較的効率よく稼ぐことができると言えます。
三大都市圏の平均時給(2023年7月度)
https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/202307_AP.pdf
- アルバイト・パート:1155円
- 派遣社員:1627円
https://jbrc.recruit.co.jp/data/pdf/202307_haken.pdf
就職活動を派遣会社にサポートしてもらえる
派遣社員が派遣先を探すときは派遣会社が完全サポートしてくれます。
応募先との調整を丸投げできるのはもちろん、応募先に提出する職務経歴書も派遣会社が用意してくれます。
職場見学(という名の実質的な面接)は派遣会社が仕切ってくれるので、軽い自己紹介をする程度で派遣先が決まってしまうことも。
とにかく楽!
派遣料金からマージンをしっかり取られてはいますが、面倒ごとを丸投げで外注していると思えばまあ納得です。
スキルアップを派遣会社にサポートしてもらえる
派遣会社は、登録者向けに無料または低価格で教育訓練講座を提供しています。
自分で通信講座探して受講するとなるとそれなりの受講料金がかかりますし、中には怪しげなものもあります。その点、派遣会社が提供するものは無料または低価格から受講できますし、派遣会社が内容を確認してから提供しているので、コスパも良いし安心して受講できると思います。
ビジネスマナーや業務スキルだけでなく、キャリアプランを考えるヒントになるものや、ライフプランやお金について学べる講座もありますので、とりあえずアンテナを立てておくだけでも学びはあるのではないかしら。
パートタイム派遣はデメリットを許容できればよい働き方
今回は、実際に時短で働いている派遣社員の目線からパートタイム派遣のメリットデメリットを紹介してきました。
パートタイム派遣という働き方は、子育て中の私にとっては相性のいい働き方ではありますが、万人におすすめできる働き方ではないと思っています。
隠れたデメリットはけっこうありますし、生涯年収や一生の働き方に大きく影響します。だから、デメリットを許容できるかどうかをしっかり考えてから先に進むのがいいんじゃないかな。
それでもパートタイム派遣という働き方に魅力を感じた方は、通える範囲に希望する時間数・日数で働ける案件があるかどうか、実態を確認してみてください。複数の派遣会社の案件をまとめて検索できる求人サイトが便利です♪