こんにちは、つむりです。
娘が認可保育園の未満児クラスにいた頃、園舎の建て替えを経験しました。
つい先日、当時の様子を尋ねられたので、保育所からのおたよりや当時の記録を元にブログにまとめました。
あくまでイチ保護者の体験談ですが参考になれば嬉しいです♡
園舎の建て替えの方法は?
園舎の建て替えには以下の方法があります。
- 園庭または近隣に仮園舎を建設して園児を仮園舎に移動、旧園舎を解体してから新園舎を建設
- 旧園舎を部分的に解体しながら新園舎を建設(工事をしていないスペースで保育)
- 別の場所に新築移転
娘の通う保育園では、園庭に仮園舎を建てて園児を仮園舎に移動、旧園舎を完全に解体してから新園舎を建てました。園児が新園舎に移動してから仮園舎を解体、園庭を整備しました。
工期中は建設現場のすぐ隣で保育が行われること、園庭・プール等が使えないことにより保育への影響があり、子どもが体感する工期は比較的長いと思いますが、立地が変わらず送迎時間に変更がないので親としては楽でした。
園舎建て替えのスケジュールは?
娘の通う保育園では、園舎の建て替えは以下のように行われました。
- 建て替え決定(自治体と市内の保育園の協議による)
- 保育園・自治体・工事業者による説明
おたよりの配布や説明会(以後、工期中に数回)
- 仮園舎着工
- 旧園舎お別れ会
- 仮園舎へ引っ越し
- 旧園舎解体→新園舎着工
新園舎内覧会
新園舎へ引っ越し
仮園舎解体→園庭着工
- 園庭完成
年度は仮の数字です。令和*年ではありませんよー!
ちなみに工期は当初予定よりも延びました。
当初は仮園舎が完成した年度の冬に新園舎が完成する予定でしたが、自然災害が多発して資材や工事人員の調達が困難になったので。仮園舎時代の年長さんは新園舎に入ることなく巣立っていきました……
プレハブ仮園舎とはどんなもの?
プレハブ仮園舎は、工事現場の事務所や倉庫のような「いわゆるプレハブ」とはまったく異なるものです。
内部の撮影を禁止している保育園なので当時の写真はありません、ごめんなさい。
代わりと言っては何ですが、全国の保育園の仮園舎の写真をGoogle画像検索でご覧ください。
プレハブ感は少なく意外と快適
仮園舎内の床は雰囲気のよい木製、室内は冷暖房完備、保育室やトイレはピカピカで、保育室内は園児が暮らしやすいよう工夫されていました。外観、窓や扉にプレハブ感はありますが中が快適なので気になりませんでした。
年季の入った旧園舎は、扉がガタついたり時々雨漏りしたりと色々あったので「これが新園舎でも違和感ないかも?」と保護者同士で軽口をたたき合ったのもよい想い出です。
仮園舎には園庭、プール、ホールがなかった(建具を移動して広い空間を作れるようにはなってました)ので、幼児さんは物足りなかったかもしれません。旧園舎との保育室のレイアウトの違いや、通路や保育室の狭さにより、送迎時のお支度に不便さを感じましたが、すぐ慣れました。
プレハブの耐震性は意外と高い
プレハブの耐震性は一般的には木造住宅以上、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造には劣るそうです。
施工業者による差があると思われますので、実際に仮園舎を施工する業者さんや保育園に聞くのが一番かと。
私は建て替え前に大阪北部地震を経験したので仮園舎の耐震性は気になるところでしたが、説明会でプレハブの耐震性についても説明を受けたことで安心して娘を預けられました。
園舎の建て替えでよかったこと
保護者目線でよかったことを挙げると、
- 老朽化解消、防災・防犯面の強化
- 地域の待機児童問題の緩和
- 保育園のフォロー体制
この3つが挙げられます。少し詳しく書きますね。
老朽化解消、防災・防犯面の強化
なんといっても、園舎の建て替えで老朽化による問題がなくなりました!
メンテナンスされていたとは言え、たいへん年季の入った旧園舎では色々あったのです。隅から隅までピカピカの新園舎や、新調された子ども家具には心の中で拍手喝采。
防災の面では、最新の耐震基準で設計された園舎は、旧園舎より階数が多く地震にも水害にも強い建物という印象でした。保育室は旧園舎と変わらず2階までに配置され、避難経路が複数あるので火事からの避難も心配なさそうです。
防犯の面では、周囲のフェンスや門扉が以前より頑丈になり、プールが外からの視線にさらされにくい2階のテラスに移動しました。
地域の待機児童問題が緩和
児童の定員が増えたことで地域の待機児童問題が緩和しました。
実際、新園舎完成後の初夏に入ってきた娘のクラスメイトの保護者から「4月の一斉入所では待機になって、新園舎完成でやっと入園できた」という話をちらほら聞きました。そこそこ激戦区なんです……
小規模ではありますが学童保育室が新設されたことで、小1の壁の緩和にも期待が持てました。幼児を動揺させないよう、当面は卒園生限定で受け入れるとのことでした。
保育園のフォロー体制
保育園のフォロー体制はよかったと思います。
- 定期的な説明会開催、おたより配布
工事進捗の共有、保護者からの意見聴取、質問・要望への対応、保育への反映 - 園の施設の代替としての外部の施設利用
公園遊びの充実、近隣のプール・学校・公民館の利用 - 平屋を前提とした避難訓練(特に水害対策)
近隣の商業施設と連携して実施
保育に関するフォローの中で、強く印象に残ったのがお散歩です。気候のよい時期はほぼ毎日、目的地を日替わりにしてお散歩に出かけてました。
夏場の水遊びやプールもしっかり実施されました。乳児クラスは保育室の軒先で水遊び、幼児クラスは近隣の公営プールや系列保育園のプールに出かけていました。幼児クラスはプールの日の集合時間が早くなった日があったようです。
運動会・発表会などのイベントは、近隣の小学校の校庭や公民館を借りて開催されました。会場は旧園舎の園庭やホールよりも広かったです。強いて言うなら普段と場所が違うのが不便という話を小耳にはさんだような。
最初は外部の施設にしょっちゅう出かけると聞いて不安は感じましたが、先生たちがすごく考えてくれているのが伝わってきたし、娘の世界が広がったので結果的にはとてもよかったです。
連日のお散歩で娘は上手に道を歩けるようになりましたし、私が知らない公園をいつの間にか覚えていて休日にリクエストされることが増えました。
幼児クラスの親御さんたちはまた別な感想を持つかもしれません……
園舎の建て替えで困ったこと
保護者目線で困ったことを挙げると、
- 園と保護者、保護者同士の分断
- 園生活の変化による子どもへの影響
- 新園舎が失ったもの
この3つが挙げられます。少し詳しく書きますね。
園と保護者、保護者同士の分断
建て替え前の保護者向け説明会が炎上しました。
のっけからキナ臭い話題ですみません。
当時乳児クラスの保護者であった私は幼児クラスの保護者さんたちが噴き上がる理由が理解できず、事情を知る方から後で色々教えていただきました。知らなかったことが多すぎた。
民営化時の取り決めが反故に
背景には民営化されてしばらくの保育園だったことがあります。民営化前からの園児が卒園するまでに保育内容を変更する場合は自治体・保育園・保護者の三者で協議する取り決めがあったそうで、建て替えレベルの変更を事前に知らされなかったとなれば炎上やむなしです。
保育園や自治体の解釈と、保護者の解釈の違いが軋轢を生みました。
乳児と幼児で異なる建て替えの影響
加えて、民営化前からの園児が幼児さんだということもありました。
仮園舎建設で施設の一部が使えない影響は乳児と幼児で格段に異なります。
幼児は日常的に活発に身体を動かす必要があり、運動会や発表会などのイベントがあるので、園庭・プール・ホールが使えない影響は大きい。しかも新園舎で過ごせる時間が短く恩恵は少ない。結局、建て替え時の年長さんは新園舎が完成する前に巣立ってしまいました。
一方、乳児は主な活動場所が保育室で、天気のいい日によちよちと園庭に出てお砂遊びや水遊びをたしなむ程度、運動会や発表会のイベントは未参加と影響は小さく、新園舎で過ごせる時間は長い。
幼児クラスの保護者と乳児クラスの保護者には明らかな温度差がありました。
保育園はフォローはしたけれど……
保育園は、幼児クラスの保護者に向けて何度も話し合いの場を設けましたし、工期中の保育への影響が出ないよう、園児にとって建て替えがポジティブなイベントになるよう努力してくださいました。
それでも民営化前からの園児の保護者には正式に決まる前にお知らせするなど配慮できなかったのかしらと思います。何もかも決まった後で保護者からの意見や要望を取り入れるのは難しいですし、保護者との取り決めがあったならそれを重く見て欲しかったなと。
園生活の変化による子どもへの影響
園庭が閉鎖され仮園舎が着工してから園庭が完成するまで、保育環境に大きな変化がありました。
- 園舎移動(2回)
- 園庭・プールの閉鎖→外部の施設を利用
- すぐそばでの工事の実施
加えて、環境の変化による人の行動の変化による影響もあったと思います。
保育園は建て替えをポジティブなものとして子どもたちに伝えてくれましたし、旧園舎からの引っ越し前には旧園舎お別れ会をするなど子どもたちの楽しみを作ってくれました。保護者に対しては、子どもたちが建て替えに前向きに向かえるよう、自宅でフォローするようお願いがありました。
ただ、大人が配慮しても子どもたちは動揺するんですよね……
特に影響を感じたのは園舎の移動です。旧園舎お別れ会や新園舎内覧では楽しそうにしていましたが、仮園舎・新園舎いずれも移動から1週間くらいはけっこうグズりました。普段は登園時にぐずるタイプではないんですが。見ると暮らすは違いますね。
娘のクラスメイトも園舎移動後のぐずぐず率は高く、4月に入園・進級で変わった環境にようやく慣れた初夏、新園舎に移動してさらに環境が変わるのは、園児にとっても保護者にとっても過酷なイベントだったと思います。自然災害で工期が延びるというやむを得ない事情ではありましたが、もうちょっと何とかならんかったんか……。
工事は園児の生活に影響が出ないようお昼寝の時間をさけたり、工期が遅れた時期は土日も作業したり、色々配慮してくださったようです。
そのおかげか娘は毎日の行き帰りに工事現場を見るのを楽しみ、重機への愛に目覚めました。
新園舎に変わったことで失われたもの
園舎の建て替えで環境はよくなりましたが、失われたものもありました。当事者以外には些末ですが、些末だけれどかけがえのないものってあるはずだ。
- 園庭や保育室の一人当たり面積(体感)
- 保育室のレイアウト変更
→送り迎え動線の変化、コミュニケーションの変化 - 床の質感(旧園舎や仮園舎よりも固く冷たくなった)
他にもありますがこの程度に留めておきます。
ちょっとだけ補足。園庭や保育室の面積については書面で確認していないので体感です。園庭は駐車場の新設と歩道の拡張で狭くなったように感じました。保育室については園舎の階数が増えることで広くなると聞いていた割にそれほどでもなく、園児の定員が増えたことを考えると一人当たり面積が減ったような気がしてなりません。認可保育園の面積基準は満たしていますが体感は以前より狭いと感じた、という話です。
保育室の配置が変わったことで、旧園舎に比べて保護者が歩く距離が伸び、職員や他の保護者とのコミュニケーションも多少変わったように感じました。なんとなく立ち話しにくくなりました(←早く帰れ?)
いずれも慣れの問題なのかもしれません。
建て替えによって旧園舎にあった魅力を再確認できたのはよかったです。
最後に
保育園の園舎の建て替えはメリットデメリットの両面があります。
建て替え前後の影響は子どもにより様々ですが大きいことには違いなく、新しくなるからよいと手放しに喜べるものではありませんでした。その点、娘の通う保育園ではしっかりフォローしていただき、結果的に工期中の活動が充実していたので良かったです。また、工期中の保育は園の対応で全然違ったものになると感じました。
お子さんが通う保育園の建て替えで心配があるようなら、保育園と対話なさってみてください。
現場からは以上です!