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翻訳初学者時代に通信講座を受講して後悔した話。失敗したと感じた理由を公開

翻訳初学者時代に通信講座を受けて失敗した体験談。後悔した理由とは?

少し間が空きましたが、前回に引き続き、翻訳者になるための第一歩の話。

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発端は、Twitterの翻訳者タイムラインでとある通信講座の詐欺的な手法が問題になったことです。これを書いている現在もよく燃えております。

とは言えよくよく考えてみると、信頼のおける通信講座を受講したとしても、受講者の姿勢次第では通信講座に貢ぐだけの結果に終わる可能性は否めません。

私もこれまで複数の通信講座を受講しておりますが、受講によるメリットを最大限に生かせたとは言いがたいところがあって、後悔はゼロではありません。これは初学者あるあるだと思いますし、いい機会なので恥を忍んで公開します。

なお、この記事には私が受講した通信講座の具体的な名称が出てきますが、特定の講座を一方的にdisる意図はありませんのでご了承ください。

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翻訳の通信講座を受講して得られたもの

私が過去に受講した英文ライティング及び翻訳の通信講座は以下の通りです。

( )内は、2019年11月現在、各講座のホームページに掲載されている受講料金。合計金額は約24万円です。

そして、私が通信講座にこの金額を支払って得られたものは以下の通り。

  1. 訳文作成のための技法
  2. (専門分野の講座の場合)専門分野の知識、調べ方
  3. 提出課題の添削、質問への回答
  4. 成績優秀者は提携する翻訳会社に推薦(※講座による)

このうち①②は市販されている翻訳関連の書籍や、各分野の専門書でも得ることができます。さらに、市販の書籍の方が内容が濃かったりもするため、通信講座独自のメリットとは実質③④だけではないかしら。

初学者のうちは学習の仕方や専門分野の情報の調べ方が分かっていないこともあり、通信講座さえ受ければハイスペックの売れっ子翻訳者になれるかもしれないと過剰な期待を抱きがちですが(←かつての私)、通信講座を含め商品の販売ページは一般的にセールスライティングを用いて読者がその気になるように書かれているので、何も知らない頃こそ要注意です。過度に警戒する必要はないけどね。

TsumuRi
TsumuRi

この点だけなら、冒頭の詐欺的な通信講座の販売ページのライティングはリスペクトに値しますね。あ、皮肉ですので素直に受け取られませんよう。

さて本題に入ります。

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翻訳の通信講座を受講して分かったこと

以下、私が受講したことのある通信講座についての話として聞いてください。

翻訳の通信講座のテキストは専門分野の学習に必要十分とは言えない

通信講座のテキストは、全体的に割と薄かったです。市販の書籍の方がページ数もありますし、特に図解は多色刷りの方が理解がしやすいため、市販の書籍に分があります。

通信講座のサイトを見ると、通信講座だけですべてをまかなえるように誤認しかねませんが、冷静に考えるとあんなに薄いテキストにすべてが書かれているわけがありませんよね。

翻訳の技法について

翻訳の技法については、関連書籍が数多くあります。私はメディカル分野(医学/薬学)分野の通信講座を受講しましたが、医学英語/薬学英語の解説や例文の量は専門書の方が豊富でした。

専門知識について

専門知識については、専門家が専門家になる前の学習量や専門家として働き始めた後にも自己学習を続けることを考えると、専門家たちが業務で触れる文書を訳すのであれば最低限、大学の教科書レベルの内容の理解が必須なのは自明です。

そして、それだけの内容を通信講座の薄いテキストでまかなうのはどう考えても無理があります。

TsumuRi
TsumuRi

……が、いけると思っちゃうんですよ、何も知らない頃って……

添削課題文とのレベル差を埋めるための副読本は専門書

というわけで、通信講座の受講中、テキストの内容を把握するだけならそれほど大変ではありませんでした。テキストは薄いからすぐ読めますし、頭に入れるために全文を写経してもそれほど大変ではありません(写経しますよね?)

ただし、添削課題に取り組むとなると話は別。

メディカルの講座の場合、添削課題は医学/薬学の専門文書(報告書や論文など)から抜粋したもの。当然のことながら通信講座のテキストの知識だけでは太刀打ちできず、かと言って専門書をいきなり購入するだけのお金もなかった私は、図書館で専門書を借りまくることになりました。

ただし市などの自治体が運営する図書館の蔵書は一般書が中心で医学/薬学の専門書は少ないため、主に看護師や介護士を対象とする書籍を借り出しました。他にはオンライン上の資料(公的機関及び学会のウェブサイトの公開資料やMSDマニュアル等)をあたったり、それでも足りない分は府立図書館まで足を運んで調べたり。

結果的に、翻訳の通信講座のテキストに向き合う時間よりも、専門書を探したり読んだりする時間の方がよほど長いという状況になりました。

通信講座のテキストの立ち位置とは、各分野の概要を眺めることであり、深く理解するためには専門書が必要。そして添削課題はもとより実務は通信講座のテキストで学習したくらいでは歯が立たないのが真実です。

翻訳の通信講座のメリットは「添削」と「質問の権利」

ここまでさんざんな書きようですが、別にこの手の通信講座がまったくムダと言いたいわけではありません。

最初に挙げた得られるもの4つのうち、ここまで最初の2つ(翻訳の技法、専門知識)について、市販の書籍(語学/翻訳関連の書籍、各分野の専門書)の方が優れているという話をしてきました。

ただ、残りの2つ(添削/質問、翻訳会社への推薦)は市販の書籍にはできないことなんですよね。

添削や質問について言えば、私が利用した通信講座では、提出した課題の添削はとても丁寧にしてもらえましたし、質問に対する回答も丁寧に作成されていることが感じられました。添削者がとても親切な方だったのだと思いますが、講座の内容ではなく実務面の話を聞いたのに、きちんと回答していただけましたしね。その節はイレギュラーな質問をしてすみませんでした。

添削や質問については、市販の書籍や独学では機会が得られない(または得にくい)もので、受講者のレベルに応じて個別対応していただけるので、自分のクセや弱点、さらには長所を客観的に見つめる機会になります。翻訳を仕事にする前の初学者はツテを持っていないので、自分の訳に対するフィードバックが得られる機会は本当に貴重です。

これらを最大限に利用できるのであれば、通信講座には金額相応の価値はありますし、独学で迷ったり行き詰まった時にはとてもよいと思います。

せっかく受講するなら成績優秀者にならないと損

それからもうひとつ、成績優秀者は提携する翻訳会社に推薦してもらえるというシステムも翻訳の通信講座のメリットです。

私が受講したDHCの講座の場合、DHC翻訳部門や業務提携先への推薦というシステムがあります。ただ、DHC翻訳部門への推薦は狭き門で、これまでの実績が翻訳講座全体で190名、推薦によりトライアルの課題が一部免除になるとのこと。

トライアル合格以前に、職務経歴書に書ける実績がなくてトライアルを受けることすらできないという話もあるので、せっかく推薦制度のある講座を受けるのなら、成績優秀者にならないと損ですよね。

TsumuRi
TsumuRi

なお、私はDHC翻訳部門への推薦には届かず、提携先への推薦の権利をいただきました。具体的にはクラウド翻訳YAQSのトライアル免除と、CRO(医薬品開発支援)のシミックへの紹介です。受講終了のタイミングが産休前だったので見送ってしまったのですが、もったいないことをしたかもしれないとはいまだに思っています

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【結論】翻訳の通信講座の効果を最大化するためには受講前に独学を極めるべし

もういちど、翻訳の通信講座を受講して得られるものをおさらい。

  1. 訳文作成のための技法
  2. (専門分野の講座の場合)専門分野の知識、調べ方
  3. 提出課題の添削、質問への回答
  4. 成績優秀者は提携する翻訳会社に推薦(※講座による)

このうち、①②は市販の書籍でも調べることができ、そちらの内容が濃いので、通信講座独自のメリットは実質③と④です。

ありきたりな結論ですみませんが、通信講座独自の添削や質問の機会を最大限に活用し、さらには推薦を狙うため、独学でやれることは極めてからの受講がお得かなと思います。

かくいう私は、受講自体は後悔していないけれど、受講前に独学が足りなかったことをいまだに後悔してます……

それなりお金もかかりますし、同じお金を払うならリターンが最大になるタイミングとコンディションでいかないと損します。終わり。