日本翻訳連盟(JTF)主催の「JTF翻訳祭2018」が2018年10月25日、26日の2日間にわたって京都で開催されます。
事前申し込み開始からずいぶん経ちましたが、9月末にやっと申し込みました。
私は今年が初参加なので、おのぼりさん状態になることは間違いありません。
本記事では、初めて申し込んで分かったことや、聴講予定の各セッションに対する期待感などを語ってみました。
JTF翻訳祭ってなに?
JTF翻訳祭とは、日本翻訳連盟(JTF)が主催する翻訳業界のお祭りです。
翻訳業界関係者が全国から集まり、講演会、パネルディスカッション、交流会などを行います。
例年、東京で開催していましたが、2018年はなんと京都開催でした。
- 開催日:10月25日(木)、10月26日(金)
- 開催地:京都市
- 参加費:JTF会員 7,000円、非会員 10,000円 (2日間有効)
支払い手段はクレジットカードと振込ですが、請求書での支払いも可能というところに翻訳業界ぽさを感じました……
大阪在住の私にとって京都はアクセスが容易なエリアです。よい機会なので2日間とも参加する予定です。
日本翻訳連盟(JTF)ってなに?
ご存じない方のために、主催の日本翻訳連盟(JTF)について紹介します。
JTFとは、翻訳に関わる企業、団体、個人の会員からなる産業翻訳の業界団体で、ほんやく検定の実施、会誌「JTFジャーナル」による情報提供、翻訳祭やその他セミナーによる勉強の機会の提供などを行っています。ほんやく検定や各種イベント・セミナーは非会員でも申し込むことができます。
ちなみに私はJTF会員ではありません。自宅で翻訳の仕事をしていればメリットは大きいと思いますが、私は被雇用者かつ子どもが小さいので、会員のメリットを活かしきれる気がせず、入会に至りませんでした。会員には検定受験料やセミナー費用などの割引があるので、もう少し育児が落ち着いて会費の元を取れそうなタイミングがくれば検討します。
初めての参加の際に知っておきたいこと
初めて参加するにあたって分かったことを紹介します。
- セッション聴講は「当日」早い者勝ち
- とは言え、申し込みは早めにした方がよい
- 名刺はあった方がよい
- 翻訳の周辺領域のセッションが興味深い
セッション聴講は「当日」早い者勝ち
2018年の翻訳祭は申し込み時に聴講予定のセッションを登録するシステムです。
私が申し込んだのは申し込み開始後1ヶ月経過した時点でした。この時点では特に人気のあるセッションは満席になっており、申し込み画面で選択することができませんでした。
しかし、「申込時の注意事項」をよく見ると、「セッションチェックの目的は席数のカウントです。 お席の確約ではありません」「各会場は、先着順でのご入場となります」と書いてあり、申し込み時に満席でも、当日早く行けば入れる可能性があるのかしら?と考えていました。
翻訳祭の申込みのときにセッションにチェックを入れていただいていますが、【申込時の注意事項】にあるように、これは席数のカウントのためであって席の確約ではなく、申込時に満席でチェックできなくても、実際には例年通り先着順の入場となります。なので希望セッションが満席だからと諦めないでね。
— Maki (@nknmaki) September 29, 2018
結論、当日は早い者勝ちで入れるということでした!当日頑張りましょう!
とは言え、申し込みは早めにした方がよい
座席は当日先着順ならゆっくり申し込んでもよいと思っていたら、10月12日時点で参加申し込み自体ができなくなりました。満員御礼になった様子です。よって、予定を調整したらすぐに申し込むくらいの勢いは必要です。
先着順のライバルにフリーランス勢が多いことを考えると、申し込んでから意地でも予定を調整する方が確実なのかもしれませんが……
遠方の場合は宿泊や新幹線の予約が必要ですから、やはり早めがいいと思います。
ちなみに2018年は京都開催ですが、秋の京都の人出はちょっと危険なレベルです。京都市内でホテルを予約できない可能性もありますので、周辺府県の新快速または特急停車駅に範囲を広げると少し幸せになれるかなと思います。
名刺はあった方がよい
よくよく考えると翻訳祭は日本最大の翻訳者オフ会なので名刺はあった方がよいです。
ランチョンセミナーの中には「ネットワーキング」なるプログラムまで用意されています。
ちょっと気になって検索したところ、翻訳祭を機に名刺を新調される翻訳者さんもいらっしゃる様子でした。ということは、どなたかとご挨拶する機会ができた時、自分の名刺を持ってないとちょっと気まずい可能性も考えられるということです。実際必要になる場面があるのかどうか分かりませんが、いちおう持っていくだけは持っていくことにしました。
名刺はネット印刷のラクスルで作りました。低料金かつ印刷もキレイでよかったです
翻訳の周辺領域のセッションが興味深い
実は翻訳実務の周辺領域に興味深いセッションが複数あることが分かりました。
翻訳祭というからには、もちろん翻訳実務ど真ん中の話が多いし、関連企業も出展していますが、それだけなら別のセミナーや通信講座、企業の説明会を聴講するなどの手段もあります。
しかし、実務的なお話に加えて、周辺のお話も一回の参加でたっぷり聞けるのが翻訳祭なんだという気づきがありました。
ちょこちょこ出かけるのが難しい育児中は、まとめて聞けるのはとても嬉しいポイントです。
2018年翻訳祭で聴講予定のセッション
というわけで、特に楽しみにしているセッションを紹介します。
セッションの紹介にかこつけた単なるおしゃべりですが、翻訳とはその周辺にとても豊かで興味深い世界が広がっているということが伝わればいいなと思います。
分かりやすいことばと難しいことば
三省堂国語辞典の編集委員、飯間浩明氏(@IIMA_Hiroaki)による、「分かりやすいことば」についてのセッションです。
要旨にあるとおり、「文章を書いたり、人前で話したりするときは、なるべく分かりやすいことばを選ぶことが基本」ではあるんですが、実際運用するとなるとなかなか難しい。このセッションではその基準やコツを提案していただける様子。
わたしが仕事上扱う文書はほぼ技術文書ですが、そのせいか日常の中でもうっかり「難しいことば」が口から飛び出しがちなんですよね。
技術文書は「型」が出来上がっているので、型通りに書いてさえいれば伝わる面があるんです。難しいと言いながら、型の運用を覚えてしまえば表現はむしろ簡単な面もあります。
ほんとうに難しいのは、そういう「型」を共有していない人に向けて書いたり話したりする場合。ブログなんて、読者が不特定多数なのでその代表例だと思います。
また、現在2歳児の育児中なんですが、子どもに向かって話すとき、どんなことばが適切なのだろうと悩むことがほんとうに多いんです。わたしがうっかり難しいことばを使っても、子どもは雰囲気で察して理解してるようではあるんですが、子どもの柔軟性と理解力に頼りすぎるわけにもいかないし。
さらに、仕事上でも「日本語にしにくいことば」に出会うことが増え、日本語を学び直す必要性をひしひしと感じているところ。この講演がヒントになるといいなと期待しています。
iPS細胞を用いたパーキンソン病治療
京都大学iPS細胞研究所教授、高橋淳氏による、iPS細胞を用いた再生医療についてのセッションです。
わたしが医薬品業界に就職した頃は、まだまだ化成品が主流でペプチド医薬品の話をちょこっと小耳に挟むくらいだったんですが、気づけばオーダーメイド医療、遺伝子治療、再生医療などの話題がお茶の間の話題にのぼるようになり、時代の流れの早さを感じてます。
もちろん医薬分野をやる以上は知っておくに越したことはないし、今はまだ遠い世界の話だけど、何年後かには目の前にあるものになっているかも。
というわけで、せっかく京都大学に行くんだし、最先端のお話は聞かない手はないぞと思って申し込みました。
実は参加するわたし本人よりも、バイオ系出身の夫が土産話を期待している講演で、しっかりノートテイクするよう厳命されてます。
……期待に添えるんだろうか。
Road to XV ~FINAL FANTASY XVで12言語を同時発売出来るまで~
言わずと知れた、スクウェア・エニックスの有名ゲームタイトルファイナルファンタジーXV(FFXV)の12言語同時発売を支えた翻訳プロセスに関するセッションです。登壇者はFFXVの開発にも関わった、株式会社Luminous Productionsの長谷川勇氏。
「医薬やってるんだからゲーム翻訳関係ないやん!」というお声がありそうですが、わたし実はゲーム大好きな元・ゲーマーなので、講演タイトルを見た瞬間にゲーム魂に火がついたんですよね。ごめんなさい、ただのオタクです。
ちょっとゲームの話をしますと、わたしのゲーム歴は多分30年近くになると思うんですが、ファミコン以前にMSXでロードランナーやドラゴンクエストに触れたのが始まりで、FFシリーズはIVからXIIIまでやりました。ちなみに好きなキャラはFFXのキマリです!(←誰も聞いてない)
その後、ベセスダ社のOblivionにハマってからはオープンワールドRPG派になり、Skyrim、Fallout 3など、同社のゲームばかりやってました。
出産を機にゲームからは離れましたが、出産直前はニーアレプリカントにはまってて、ストーリーを2周した時は「これで思い残すことなく産める……」と思ったくらいです。
こんなわたしにとってゲーム翻訳は憧れの世界、ただのミーハーなオタクで申し訳ない感じですが、とても楽しみにしています。
てか今頃になってFFXVやりたくなってきたんですけど……
翻訳実務に関するセッション
上記の3つ以外にも、実務的なところでは以下のセッションを聴講するつもりでいます。
- JTCA×JTFコラボレーションセッション 用語集の重要性と運用の在り方
- あなたがつくる医学翻訳の未来:Prescription for Survival続編
- 「翻訳者としてデビューしたい」「翻訳エージェントに登録したい」「駆け出し翻訳者から脱したい」と考えている方向けの元・翻訳コーディネータからのアドバイス
また、企業ブースも空き時間に覗きに行く予定です。
自宅の用語集環境と翻訳メモリをもっと整備していきたいんですよね。ほんやく検定も受けたいし。今は学習用に毛が生えた程度の環境ですし、対訳集も勉強を兼ねて作成したお手製を使ってるという状態なので……。また、会社での翻訳環境をもっと使いやすく整えるためにできることがないかも考えたいです。
下の2つは時間帯が重なってるんですが、これから「小1の壁」やあるかもしれない夫の転勤を思うと、そろそろ在宅化への道筋もつけていかねばとも思いますし、今後の医薬業界動向も気になるしで、ほんとうに迷うところです。
まとめ:翻訳祭で会いましょう
初めての翻訳祭が楽しみでしかたなく、フライング気味にあれこれ書いてしまいましたが、もう一度、初めての申し込みの際に知っておきたいことをまとめると、
- セッション聴講は「当日」早い者勝ち
- とは言え、申し込みは早めにした方がよい
- 名刺はあった方がよい
- 翻訳の周辺領域のセッションが興味深い
ということ。実際に参加してみると分かることはまだまだあるはずなので、参加後にも書いていい範囲でレポートできたらいいなあと思ってます。
参加される皆さま、会場でお目にかかれれば嬉しいです。
駆け出しな上に人見知りなので、せっかくお目にかかれる機会なのに提供できるネタがあまりないんですが、強いて言うなら、
- 好きなことならいくらでも語れます
- WordPressとはてなブログの話ができます
- 子育ての話ができます
肝心の翻訳の話はどこ行ったんだって感じですが、「好きなこと」の中に入ってます!
どうぞよろしくお願いいたします。
参加後の感想はこちらの記事にまとめました!一言でまとめるとただのラブレターですが、よろしかったらご覧くださいまし!