子どもがダンゴムシを握りしめ、放してくるように言い聞かせてもイヤイヤして離さないってこと、ありません?
娘が5歳のとき、突然ダンゴムシを拾ってきて「飼う」と言って聞きませんでした。娘はそれまで虫嫌いでしたから、わが家には当然虫を飼う用意などなく、鉢植えの根元にダンゴムシを置いてごまかそうとした(ダンゴムシが自らどこかに行くのを狙った)のですけど、娘が「家の中で飼う」とヘソを曲げて困りました。
お子さんの気持ちの面で、拾った日に野に返すことが難しいようなら、数日は保護してお子さんの気が済んでから野に返してはどうでしょう。1日2日ならキッチンにあるものを利用した仮住まいで飼えますし、長く飼うのも難しくはないので。
わが家では眺めているうちに愛着がわいてしまい、長いこと育てることになりましたけどね
今回はわが家の実体験を交えたダンゴムシ談義です。
- ダンゴムシを拾った当日の仮住まい
- 長期間育てる場合の環境作り・お世話
- 飼育中の失敗談(主に恐怖体験)
ダンゴムシを拾った当日の仮住まい
ダンゴムシを拾った当日は、とりあえずの仮住まいを作りましょう。
- 入れもの(飼育ケースがなければプラスチック容器)
- キッチンペーパー
- 脱脂綿(ティッシュペーパーでも可)
- エサ(落ち葉、野菜くずなど)
昆虫用の飼育ケースがなければ、プラスチック容器を入れ物にできます。プラコップ、ペットボトルの底を切ったもの、カットフルーツの容器など。フタはあった方がよいですけど、なくてもなんとかなります。
ケースの底には、キッチンペーパーを水で湿らせて敷きます。自然に近づけるなら土を入れたいところですが、翌朝いちばんに野に返すつもりならキッチンペーパーで十分です。
何日も飼うなら土を入れてあげてください
→「ダンゴムシの自然に近い環境づくり」へ
ケース内の保湿のため、丸めた脱脂綿(またはティッシュペーパー)を水で湿らせてケースに入れます。水びたしになるとダンゴムシが溺れるかもしれないので、含ませる水は染み出さない量にしましょう。
フタつき容器の場合は、フタに切り込みを入れて空気穴にします。
フタのない容器の場合は、キッチンペーパー、新聞紙、排水溝用ストッキングネットなどでカバーし、セロハンテープや輪ゴムで固定してフタにします。ラップは中が透けて観察しやすいですが、密着性がよすぎるので空気穴を開けてあげてください。
一晩だけならエサは落ち葉で十分です。落ち葉を拾ってなかったら野菜の切れ端や芯などでも。分解者であるダンゴムシはなんでも食べます。カルシウム補給のためにコンクリートまで食べるらしいですよ?すごいぞダンゴムシ!
これで一晩はしのげるので、お子さんが納得したら野に返しましょう。
ダンゴムシさん、子どもの遊び相手ありがとう
翌朝あっさり野に返せればよいのですが、子どもがずっと飼う気でいたり、世話をしている間に親も愛着がわいちゃったり、意外と長期間飼うことになっちゃったりするんですよね、ダンゴムシ……
つづいて、しばらく飼う場合の環境づくりを紹介します。
ダンゴムシの自然に近い環境づくり
しばらく飼うなら自然に近い環境を整えます。
- 飼育ケース
- 床材(腐葉土、落ち葉など)
- 隠れ家(落ち葉、石ころ、松ぼっくりなど)
- エサ(植物性・動物性・カルシウム分)
- エサ台(ペットボトルのフタなど)
- 霧吹き
ダンゴムシの飼育ケース
飼育ケースは、市販の昆虫用飼育ケースはもちろん、仮住まいにしたカットフルーツの容器などで代用することもできます。フタには空気穴をあけてあげてくださいね。昆虫用の飼育ケースを買う場合もひとまずは100均でも十分です。
ダイソーで小さいケースが110円、中くらいのケースが550円だったので、わが家は110円の小さいケースを買いました
ケースのサイズについて、私が参考にした本には「30cmのケースで20匹くらい飼える」とありました。ダンゴムシが少なければ小さくてもいいです。数が多い場合や、繁殖させる場合は大きめにした方がよいかと。
\1冊あると便利です /
ダンゴムシの床材・隠れ家
飼育ケース内は、ダンゴムシがいた場所の環境を再現するようにします。
床材として土や落ち葉、隠れ家として木の枝、石ころ、マツボックリ、鉢のかけらなどを入れます。
床材や隠れ家はダンゴムシがいた場所から拾ってくるのがお手軽です。
土については、公園や道端の植え込みや田畑を勝手に掘るのはよろしくないので、市販の腐葉土を使いましょう。100均にもあると思います。霧吹きで水分を足し、よく混ぜてからケースに入れます。
落ち葉は床材になるだけではなく、エサにも隠れ家にもなります。表面に敷くか、土に混ぜ込みます。
隠れ家になる木の枝、石ころ、マツボックリ、鉢のかけらなどは、お好みで可愛くレイアウトしてあげましょう。個人的にはマツボックリが可愛くて好き。ケース内の湿度の目安にもなります(乾燥していると開き、湿っていると閉じる)。
ダンゴムシのいた場所を再現できれば完成。ダンゴムシを入れてあげましょう。
ダンゴムシのエサ
ダンゴムシは雑食です。わが家では以下のようなものをあげています。
- 植物性のエサ:落ち葉、雑草、花、野菜くずなど
- 動物性のエサ:煮干し、乾燥エビ、チーズ、加熱した肉や魚の切れっぱしなど
- カルシウム補給のできるエサ:卵の殻、煮干し、乾燥エビなど
あまり難しく考えず、まずはダンゴムシのいたところにある落ち葉を与えてみましょう。
色々あげてみたけど、ダンゴムシがいちばん食べたのは腐葉土と落ち葉だと思う
落ち葉以外には台所の残り物をわけてあげるとよいです。多少好き嫌いしつつも食べてくれますよ。カルシウムは外骨格のために必要だと言われているので、長期間育てるなら卵の殻などカルシウム豊富なエサも入れてあげてください。大きな卵の殻を入れてもあまり減りませんけどね。
水分の多いエサや動物性のエサは腐りやすくカビやすいし、悪臭の原因にもなるのでマメに交換してあげてください。エサが腐ると土が汚れます。ペットボトルのフタなどをエサ台にして、エサを土に直接置かないようにすれば土の汚れは防げます。
ダンゴムシの温湿度管理
ダンゴムシは湿ったところが好きなので、ケース内が乾燥しすぎないように時々霧吹きをしてやります。
全体に霧吹きすると、ダンゴムシが急いで逃げたりして可愛いですけど、霧吹きを直撃させるのだけはやめてあげてください。溺れたら可哀想です。
ケースは直射日光の当たらない涼しい場所に置きます。野生では涼しくて湿った日陰に隠れているいきものです。
ダンゴムシの防虫対策
ダンゴムシが過ごしやすい環境はたいていの虫にとって居心地がよいため、ダニやコバエがわいたり、ゴキブリが侵入してエサを食べたりします。虫対策は必須です。
虫対策として飼育ケースのフタに昆虫用のコバエ防止シート(不織布)を挟みます。100均にもあります。
既に土にいる虫が室内に漏れ出すこと、そして新たな虫がケース内に入り込むことを防げればよいので、新聞紙やキッチンペーパーで代用してもいいと思います。私は排水溝用のストッキングネットをケースのフタ部分に掛けてました。ネットはダニには効果はないと思いますが、ゴキブリやコバエには効果がありました。
コバエをシャットアウトする機能のついた昆虫飼育ケースも販売されています。見た目をスッキリさせたければこっちかな。
ダンゴムシのフンの管理
ダンゴムシのフンがたまってきたら土を変えます。
本人(本虫?)はそんなに気にしていないはずなので、しょっちゅう変えなくてもいいですよ。フンは土とは明らかに違う色で、サイズが揃っているので簡単に区別できます。フンの多いところだけ捨てて土を足すか、めんどうなら全交換してもいいと思います。
ダンゴムシのフンは肥料になるので、取り除いた土は植物に与えてもいいかもしれません。ダンゴムシが紛れると植物の柔らかい部分を食害することがあるので、ダンゴムシはきっちり除いてくださいね。
要するに①エサの交換、②湿度管理(霧吹き)、③防虫、霧吹き、④フンの掃除を時々やっていれば元気に育ちます
本当にあった!ダンゴムシの怪談4選
ここまで読んだ皆さんは、そろそろダンゴムシが愛しくなってきたはず。でも、恐怖体験もそれなりあります。みなさん心の準備はよろしいですか。わが家で実際に起こったダンゴムシの怪談を紹介します。
虫が苦手な人には閲覧注意なので畳んでおきます。読みたい方はタイトルをクリックしてください。
ダンゴムシばらまき事件(タップで表示)
ダンゴムシばらまき事件
お子さんは一度はこれやらかすのではないでしょうか。
娘がダンゴムシの飼育ケースを玄関でぶちまけました。よりによって靴の上です。靴の中に隠れようとするダンゴムシ。中敷の裏側まで見逃さない私。靴に足を入れた瞬間、モゾッ……!とするような事態は避けたいのです。
娘曰く「ダンゴムシを見たくてケースを持ち上げたらフタが取れた」そうです。
「ケースを持ち上げる時は底を持つ!」教育的指導は大切です。
虫大量発生事件(タップで表示)
虫大量発生事件
防虫対策が必要だと知らなかった頃の恐怖体験。
ダンゴムシにとって快適な環境は、たいていの虫にとっても快適な環境なので、ダンゴムシ以外の虫がわきます。
ダンゴムシさんを飼い始めてしばらくして、小さいゴキブリを見かけるようになりました。台所の床で1匹、居間で1匹、お風呂で2匹……今まで家の中でゴキブリを見たことがなかったので、まさか飼育ケースかと思ったら飼育ケースの中に小さいゴキブリがいました。土に紛れていたのか、家の中に隠れていたゴキブリが飼育ケースの空気穴から入って産卵したのかは不明です。
排水溝用のストッキングネットをケースのフタの上からかぶせたところ、ゴキブリを見かけなくなり一安心でした。
飼育ケースにわくムシは、元々土や落ち葉などについていたものと、後から飼育ケース内に入り込むものがいます。代表的なものはダニ、コバエ、ゴキブリ、いずれも不快害虫です。
飼育ケース内はムシにとって暮らしやすい環境ですし、増えたムシが広がるとアウトなので、空気穴から出入りできないようにコバエ防止シートなどで塞いだほうがよいですね。多少はわくものなので、最初にやっておくとよいですよ。
虫対策と言えば殺虫剤ですが、ダンゴムシさんにも悪影響なので絶対にやめてあげてください。可哀想です。
ダンゴムシ大量発生事件(タップで表示)
ダンゴムシ大量発生事件
季節限定ネタです。
ダンゴムシさんは6月頃に繁殖します。
おなかに卵を抱えているメスのダンゴムシさんがいると、子ダンゴムシが大量発生するのを見ることになります。本によると数十匹から、多い場合は200匹くらい抱っこしていることもあるとか。つがいで飼っている場合は毎年恒例イベントになるかもしれません。
増えるのがイヤなら、どちらかの性別だけで飼うか、おなかに卵を抱えているメスを取り除きます。一般的に、メスには背中に黄色の模様があるし、卵を抱えている場合はおなかが白っぽくなり上手に丸まれなくなるので簡単に見分けられます。お子さんが別れを悲しむようなら何とか折り合いをつけてください。
既に大量発生してしまった場合は、ケースをサイズアップして育てるか、ダンゴムシさんが元いた場所に子ダンゴムシさんを返してあげるかするとよいです。ダンゴムシ(多くはオカダンゴムシ)は、明治時代以降に海外から移入して日本に広く住み着いているため、いわゆる外来種ほどには環境や生態系の破壊には繋がらないとは思いますが、お花や野菜を食害する害虫でもある(大量発生した場合は駆除されたりする)ので、花壇や畑は避けましょう。木の根元の落ち葉だまりに返してやるのが平和的です。
飼育ケースにカビ団子事件(タップで表示)
飼育ケースにカビ団子事件
ズボラさんは要注意です。
ある日、ダンゴムシさんの飼育ケースを覗くと、白くて巨大なふわふわが鎮座していました。正体はカビです。
わが家ではダンゴムシさんにエサとして野菜などを与えていました。その日は茹でたニンジンの切れ端を入れてそのまま忘れており、3日くらい経ってカビ団子が形成された次第です。
水分の多いものはカビやすいので、1日くらいで取り出すか、ダンゴムシが食べ切れる量を与えるのがポイントです。カビが生えると土にも影響する(菌糸と胞子が移ってるかもしれない)ので、ズボラな皆さんはご注意ください。
まとめ:ダンゴムシさんは子どものよいお友達になれます
恐怖体験もありますけど、ダンゴムシさんは基本的に手がかからないし、静かだし、臭いもあまりないし、子どもに遊ばれてくれる気のいいヤツらです。
飼育ケージを置いていると、時々生き物の気配を感じるのがなんとも言えないし、昼間に戯れに落ち葉をめくると「キャッ!」という感じで蜘蛛の子を散らすように逃げていったりするのも可愛いし、夜は少しだけ堂々とした感じになるのも、眺めていて飽きません。
ハマると奥が深いダンゴムシ沼、みなさんも堪能してくださいね。
1冊あると便利な本の紹介
幼児〜小学生向けの簡単な本ですが、子どもが後々他の種類のムシやらなんやらを拾ってきたときに役立ちます。
うちの子はそこまで虫めづる姫君ではないので、今まで育てたものはダンゴムシとクワガタムシくらいですけど、近所の昆虫キッズはバッタやらカナブンやらカニやら、捕まえられるものは何でも捕まえてきてるんちゃうかってくらい捕まえてます。そのたびに親が育て方を検索して子どもに結果を見せてやるのもなんだか大変なので、読みやすい本が手元にあるといいですよ。おすすめです。