こんにちは、つむり(@TsumuRi)です。
➡初めての方は自己紹介もどうぞ
このブログではお仕事のことも書いているのですが、自己紹介ページに詳しいことをまったく書いていなかったので、お仕事についても掘り下げて書いてみることにしました。
これを書いたきっかけは、古くからのツイ友であるヨシダヒロコさん(@chiruru)が翻訳者としての経歴をまとめてくださったことです。ヨシダさんどうもありがとう!
翻訳・テクニカルライティング・校正をしています
現在のお仕事は端的に書けば以下のような感じです。
- 翻訳(英⇒日、日⇒英)
- テクニカルライティング(和文/英文)
- 成果物の点検(校正)
オフィスに出勤して働いています
翻訳・ライティング・校正といえば、在宅ワーカーの方が多いと思いますが、私はオフィスに出勤して働いています。
雇用形態は派遣社員です。
派遣社員のお給料は控えめですし、勤務地が大都市に集中しているという事情があることから、通勤時間は長いです……
派遣社員って在宅ワーカーに比べてデメリットだらけだなと思うかもしれませんが、それなりにメリットもあります。
- 雇われる時のハードルが低い
⇒特定の業務の経験年数がネックになる場合は他のスキルを抱き合わせにして潜入可能 - 実務経験が稼げる
- 収入が安定している
- 依頼者との距離が近い
⇒指導が細かく本音が聞ける - 業界の情報や動向が無料である程度入ってくる
⇒情報を得るためには普通はお金がかかる
現在の雇用形態で続けているのはこのあたりが理由です。
子どもがまだ小さく、なかなか思いきったことがしにくいという事情もありますが、いざとなればいつでも在宅仕事に切り替えられるよう準備だけはしておきたいところです。
関連記事:
翻訳実務経験をゼロからイチに!派遣で働くメリットとやりたい仕事をもぎ取るための処世術
得意分野は医薬品です
出産と育児によるブランクはありますが、社会人になってからずっと医薬品業界で働いています。
元々理系出身なので、最初は技術者として働き、デスクワークに転向しました。きっかけは、自分でコツコツデータを取る仕事も悪くないけれど、集約されたデータを利用して資料を作る仕事の方が、興味深い情報にたくさん触れられるし、ユーザーに近くて魅力的だなあと思ったからです。
もの作りの上流よりも、ユーザーさんの近くが好きです。大学に居残らずに民間企業に就職したのもそれが理由です。
翻訳(英⇒日、日⇒英)
私が翻訳をしようと思った動機は、多分「誤解」から始まっています。
まだ技術者だった頃、私が実験に明け暮れている横で規制当局への提出資料を作成している人たちがいました。そのお仕事が、興味深い情報に触れられることが魅力的な上に、なんだか楽そうに見えたんですね……。
そして、医薬品業界でライティングをしようと思うと、エラくなるか英語ができるようになるかの二択だと感じたので、まずは翻訳ができるところまで語学力を上げようと思いました。

今思うと「まずは」じゃねーよ!って感じなんですが、当時はビックリするほどモノを知らなかったということで、カンベンしてください……
技術者として働いていた当時、英語はそれほど得意ではなかったので、思い立ってから何年もかけて集中的に英語学習をしました。
その過程はこちらの記事で公開してます。
>英検準2級に落ちた私が自宅学習中心にTOEICスコア900を超えるまでの学習法
これは一般的な英語についての話なので、翻訳の勉強についてもいずれきちんとまとめたいなと思います。
翻訳関連のムックや、ブログで公開されている翻訳者さんのキャリアは、元々英語の素養のある方が専門知識を身につけて翻訳者になるパターンが多いので、わたしの場合はちょっと(相当?)ヘンなバックグラウンドなのかなと思います。
英日翻訳も日英翻訳もやりますが、分量的には圧倒的に日英翻訳が多いです。
周囲の人たちが英語の読み書きにまったく不自由していないことから、単純に自分で英文を書くのがめんどくさいのだろうなーと勝手に思ってます。
英日翻訳をやらせないのは、下手くそに和文を書かせると粗さが目立つし、英文を書くよりめんどくさくないからだろうなーと、こちらも勝手に思ってます。
こんな環境なので、うかつなことを書くとすぐバレて指導が入ります(笑)

…笑ってる場合じゃないんですけどね……
テクニカルライティング(和文/英文)
大学時代の論文作成の裏方仕事や、技術者時代の報告書作成や手順書作成まで含めてよければ、20年やってる計算(社会人になってからは10年あまり)になります。
ほぼ和文ばかりですが、現在につながる基礎を作ってくれた時代です。
ライティング中心の仕事をさせてもらったのは2014年からで、その頃からは和文と英文両方やらせてもらえるようになりました。
内容はかなりお堅い感じで、規制当局への提出資料の経験がいちばん豊富です。
いろいろやってきた中で、いちばん楽しかったのはプレゼン資料作成。
お医者さん向けの説明資料だったり、MRさんのお勉強用だったりいろいろですが、プレゼン資料ってカラフルですし、Word文書より多少はお堅くないので、やっぱり作ってて楽しかったです。
ま、中身はごりごりの技術資料や論文の要約ですけどね。
私が扱う資料は構成やフォーマットがだいたい決まっていますし、文書作成戦略やデータが揃っているところからフォーマットに入れ込んでいく形がほとんどなので、構成力はあまり身についていないかもしれません。
成果物の点検(校正)
技術資料は正確さが命!ですから、同僚や他部署が作成した資料の点検もしています。
資料の構成がだいたい固定されていますし、私よりもベテランの方が作成した資料がほとんどなので、構成自体を直すことまではほぼありませんが、データの正確性(特に数字!)や、文書内はもちろん根拠にした資料との間に矛盾した記述がないか、かなり気にして見ています。
また、すべての記載についてデータや科学的知見による裏づけがあるかもすっごく気にします。
さらに、実験操作などは読者が引っかかりなく再現できるかを気にしてしまいます。

技術者上がりのクセだと思いますが、一連の実験操作がスムーズにたどれないと、おしりがムズムズするんです……
医薬品分野のちょっとマニアックなはなし
この項ではちょっとマニアックな話をしますが、医薬品業界で働きたい人にしか需要はないと思うので、なんなら読み飛ばしてください(笑)
医薬品開発/製造の基礎になる学問は、それこそ医学、薬学、生物学、化学、工学、数学(統計)、薬事関連法規やガイドライン、最近はIoT活用が進んでることもあってITなど、めちゃめちゃ幅が広いです。
行政当局への提出資料はざっくり「臨床」「非臨床」「品質」の分野に分かれていますが、私は理系出身の元・技術者ということもあり、元々の専門に近い品質分野が得意です。上にあげた学問分野の中では化学や工学に近いです。
最近は低分子医薬品からバイオ医薬品、さらには遺伝子治療や再生医療に移行していく流れがあるので、これからはそっち方面にもアンテナを張っていきたいと思ったり。
他には、技術者時代に取った基本情報技術者の知識を生かして、IoTにも食い込んでいけないかしら。最新の知識へのアップデートは必要だけど、興味はあるのでおもしろそう。医療分野におけるブロックチェーン活用とかいう話もありますよね。
臨床や非臨床の分野も仕事としては経験しましたし、それなりに勉強もしましたが、(品質分野と比較すると)背景知識の薄さが不安材料に思えて、かなり悩みました。

知れば知るほど過去の自分の成果物のアラが見えてくるんですよねー
それから、やっぱり文体が少し違うので、合わせるのがたいへんでした。
だから、文系出身で自信を持ってこの分野で働いている方々は本当にすごいと思ってます。高校理科レベルから最先端の研究レベルまで知識を引き上げるって、そんなに簡単なことではないと思うので、めちゃくちゃ努力されてるんだろうなと。
この仕事をしていて思うこと
この仕事をしていて嬉しいとき
この仕事をしていて嬉しいときは、細やかな配慮のされた文章を書く人に出会ったときです。
もちろん、自分の作成した資料がほぼ手直しなしで使ってもらえた時もすごく嬉しいんですが、それ以上に、秀逸な赤入れを受けたときの方が震えます。
なんていうのかな、私が書くとまだまだ字面をなぞっただけのような感じがしますが、隅から隅まで知り尽くした人の手が入ると、隅々まで細やかに神経が通っている文章に「化ける」んですよ。
翻訳だったら、原文の書き手が単語の選択ひとつひとつに込めたであろう、心の機微や戦略まで汲んだ文章になる。
私もそんな文章を書けるようになりたいと思うと同時に、まだまだやることがある、まだまだ上を目指せると思ってワクワクします。
この仕事をしていて悲しいとき
いちばん悲しいのは、チェックを受けたときに致命的なミスが発見されたときです。例えば数字や用語の間違い、翻訳なら訳ヌケ。
こんなとき、セルフチェックで発見できなかったことに対してすさまじい自己嫌悪に陥ります。それを糧にして前に進むしかないんだけど。
その次に悲しいのは、明らかに質の低い成果物をチェックしてるときです。

悲しくなるというか、その仕事わたしにちょうだい!という気分……
これは、質の低い成果物に対して職場の人たちがものすごく辛口なのもあると思います。私もまだまだ人のことを言える立場ではないですが、ほんまに悲しくなります。
仕事における私のスタイル
仕事では、裏取りと根拠資料の読み込みを信条としています。
技術文書はエビデンスがないと書けないので、数ページの資料を書くのに100ページ超えのレポートを読むこともザラですし、裏取りのためにさらに文献検索をしたり、資料をあたったりと、付随する業務もたくさんあります。

多分文書を書いたり訳したりしている時間よりも探し物をしている時間の方が長いと思うw
資料を納得するまで読み込めるのも派遣のメリットかもしれませんね。
在宅ワーカーだと成果物の量に対していくらという支払いになると思うんですが、時給制の派遣だと成果物の量で評価されることはないので、締め切りの許す限りは質を追求できるという。
逆に、効率化して高速で成果物を仕上げても、それに比例してお給料が上がるわけではないのが悲しいところ。
派遣社員は時給交渉はできますけど、大幅に上がるものではないので。
関連記事:
派遣社員は時給交渉できる!交渉のタイミングや方法を実体験から説明するよ
これからやりたいこと
子育ても少し落ち着いてきたので、もう少し勉強会やイベントなどに参加してキャリアに繋げたいなと思ってます。イベントには参加しやすい地域に住んでいるので、地の利を生かさない手はない。
また、翻訳に特化した資格・検定試験も少しずつ受けたいなと。

親になったので、こどもの英語も気になりはじめてます!
さらに、最近話題のAI翻訳も意識しておきたいところ。どこまでできるようになるのか知りたいし、なんなら最先端のうちにイッチョカミしたいなーと思ったりしてます。
AI翻訳が現在の翻訳者の仕事を奪うのか、それとも共存して新しい形態の仕事が生まれるのか。AIに使われるのではなく、AIをこき使えるようになれば、とてもおもしろい未来がやってくるだろうなと思います。
これからブログでやりたいこと
いささか想像が先走ってますが、そうやって動き回ることで得た知識や経験を(書ける範囲で)このブログにまとめていくのも楽しそうだなと思ってます。
ここは育児日記の延長で始めたブログなので、どこまでごりごりな情報を入れていくか迷うところなんですけどね。
そういえば、フリーランス翻訳者として活躍されている方で、翻訳のことも育児を含めた暮らしのこともさらりとブログにまとめられているのを以前から読んでいて、とても素敵だなと憧れていました(最後に紹介します)。
そういう力加減でやれたらいいな。
ごりごりな技術文書は仕事だけでおなかいっぱいなところもあるし、守秘義務もあってそうつっこんだことは言えないので、翻訳やライティングの勉強や技術のこと、キャリア周りのことをゆるりと綴れたらいいなと思います。
愛読中の翻訳ブログ紹介
ここまで長文の自分語りに最後までおつきあいくださり、ほんとうにありがとうございました。
まだ駆け出しのわたしですが、なにか参考になることがあれば幸いです。
最後に、わたしの好きな翻訳者さんのブログを2つ紹介します。きっと参考になることが多いと思います!
A Translator Like Croton Leaves
この記事を書くきっかけをくれた古くからのツイ友、ヨシダヒロコさん(@chiruru)。もうどうして繋がったのかも覚えてないくらい長いおつきあいです。化学系出身の翻訳者さんで、科学イベントにめっちゃ詳しい!
わたしのなにげないtweetから、読みごたえのある記事をなんと4本も書いてくれました!その熱量が嬉しかったです。ほんとうにありがとう。

翻訳者の暮らし
本文中で紹介させていただいた、翻訳と育児を含めた暮らしのハイブリッドスタイルのブログが素敵なリスノさん(@lisno_k)。育児をしながら、翻訳者としても着実にキャリアを積んでるスゴい方。
2017年にほんやく検定1級に合格されるまでの学習のしかたを公開してくださってます。わたしはこれからなので、参考にしながらがんばります。
