何を隠そう、片付けられない、捨てられない夫婦だったわが家。
汚部屋と呼ばれる領域に至ったことはありませんが(多分)、どうも部屋が雑然としていて。
そんなわが家、ごく最近まで私がひとりで片付けてました。ところが最近、ついに夫が覚醒、夫婦一丸となって(ときには娘も加わって)片付けするようになり、片付け効率も夫婦仲も改善しました。産後クライシスで離婚の文字が出たことを思えば夢のようです(←さらりとカミングアウト)
そこに至るまで、何十冊も片付け本を読みましたが、モノ余り時代の片付けの基本はたった3つでした……
- いったん全部出して総量把握
- 無理なく管理できる量までモノを減らす
- 収納は7割まで(少なくとも3割の空間を残す)
世に数多ある片付け本、基本が同じなので著者の個性が出るのは語り口や実際の進め方のところだけです。新しいものを何冊も読んでも、目新しいことはほとんどありません。
なので、あれこれ読まずにお気に入りの1冊を最初から最後まで真似するのが近道だとは思うんですが、片付けが苦手なタイプは、そもそも自分にあったものや、やる気を出してくれる本に出会うまでが長いんですよね。
そこで今回は、片付けたくないズボラ夫婦のやる気に火をつけた片付け本を、これまでに読んだ何十冊から厳選して紹介します。
片付けノウハウを知り、マニュアルとして使うための本
絶対にリバウンドしない!奇跡の3日片づけ
即効性という点では最強なのがこの本、片付けアドバイザー石阪京子さんの、奇跡の3日片づけ。
基本はやっぱり最初に書いた3つですが、新しいのはその順番!
バックヤード・ファーストで家一軒を片付け切る石阪さんメソッドは、キッチンやリビングから始める従来の方法ではダメだった人は試す価値あり。
なんせバックヤード・ファーストには、
- 居住空間ではないから中断が自由
- 使ってないものが多いから処分を決めやすい
- 空いたバックヤードが仮置きスペースになる
➡片付けの中断時やゴミの日までモノの置き場に困らない
というメリットがあります。
おかげで、片付けに取り組む上の心理的ハードル、
- 片付ける過程で一度は散らかる
- 片付けの効果をなかなか実感できない
- 始めたら中断できない
これらはほぼ感じなくなりました。
居住空間を散らかさずに片付けができ、いつでも中断できるとは、ほんとうに斬新…!
タイトルどおり最短3日のメソッドですが、バックヤードさえ空ければ、居住空間を散らかさずに片付けられるようになるため、マイペースでゆっくり走って完走も可能です。
わが家の片付けのターニングポイントは、この本との出会いでした。
無印良品とはじめるミニマリスト生活
私の片付けの理想像がこちら。
やまぐちせいこさんの賃貸暮らし時代の本です。お子さんもいるのに、シンプルで最低限のものしかないお部屋がほんとうに美しい。
片付け本には戸建てや広めのマンションの間取りが多い印象ですが、この本に登場するお部屋はそこまで広くありません。そういう意味で、転勤族がお手本としやすい本です。
ミニマリストを冠した本でありながら、モノの数を極端に絞っているわけではないため、現実的なモデルケースと言えましょう。
モノを減らす過程はあまり詳細には書いていないので、モノを減らした先の住まい方をイメージする位置づけとした方がいいかも。私にとってはやる気を出すための本として機能していました。
ただ、わが家はやまぐちさんのおうちほどモノの数を絞る気はありません。その理由は次で!
やらないことから決める世界一シンプルな家事
知的家事プロデューサーの本間朝子さんの本。
多くの片付け本は「モノを減らす」ことにフォーカスしますが、それ以上に大切なのが「手数を減らす」概念。モノを減らすことに執着するあまり、作業の手数が増えればかえって暮らしにくくなります。たとえば、
- モノを減らすため菜箸を1組にする
➡使うたびに洗うことになり料理の手数が増える - 服を省スペースでしまうために毎回丁寧に畳んで引き出しにしまう
➡洗濯物を取り込んだ後の手数が増える
これだと、モノの数は減っても、ズボラなタイプはけっして暮らしやすくはなりません。
その点、この本は当たり前に行われている片付けの工夫をいちど疑うことで、作業の手数を最小化して効率的な暮らしにつながるかの検証に役立ちます。
わが家の場合はこうなりました。
- 菜箸は6組で、生肉を触ったら洗い桶に入れ、最後にまとめて食洗機で洗う
➡料理中は料理に集中できる - 服はハンガーにかけるか、4つ折りにしてカゴに積む(下着と肌着は引き出しに投げ込む)
➡私は楽ができるし、夫や3歳娘も再現性よく片付けられる。夫や娘が自発的に片付ける姿も見られるように!
ズボラにはズボラなりのベストバランスがあるということが本当によく分かりますよ♪
イラストでときめく片づけの魔法
「人生がときめく片づけの魔法」でおなじみのこんまりメソッド。
片付け初心者が最初に通る道だとは思いますが、ズボラにはこんまりメソッドを完全にトレースするのは不可能です。
それは、モノを減らす段階「片付け祭り」が終わった後、維持の段階に移った後のこんまり流の収納法がやや手間だから。
例えば「服を省スペースで収納するために毎回丁寧に畳んで引き出しに立てる」のは有名ですが、私みたいなズボラは畳まず放り込んで終わりくらいじゃないと維持できません。だってめんどくさいんだもの。
夫は私に輪をかけて片付けない人ですし、3歳娘はまだそこまで器用ではないので、再現できず散らかすのは目に見えています。
このように、維持に手間をかけたくない人や、片付けポテンシャルの低い人には合わない部分もあります。
それなのにあえてこんまりメソッドを推すのは、「ときめき」方式とは「捨てるものを選ぶ」のではなく「残すものを選ぶ」究極形だと思うからです。
そしてやっぱりこんまり本は読みやすい。特に「イラストでときめく~」は、片付けたい場所ごとにインデックスがあり、場所別の図解もあって本当に分かりやすい。もはや片付け事典。場所別に意外とシビアな選別基準が載っているため、たいへん使いやすい本です。
というわけで、ズボラでも「片付け祭り」完了までは大いに参考になるかと。
デスクと気持ちの片付けで見違える、わたしの仕事時間
OURHOMEのemiさんの本が好きで何冊も読んでいますが、ワーママという立場から推したい本はこれ。
常にバタバタしているワーママの、仕事時間とおうち時間の気持ちの切り替えや、保育園のお迎えリミットに追われ、散らかりがちなデスクやタスクの整理術などが役立ちます。
気持ちを職場にきっちり置いてこられるようになると、家しごとや子育てがはかどるので、自宅の片付けにも間接的に効く1冊かと。
emiさんの本は片付けたい対象に応じて色々ありますが、子育て✕片付けという観点からは「子どもの写真整理術」「お片づけ育はじめました」あたりもおすすめ。アルバム作りや、子どものおもちゃ棚のレイアウトのお手本にしております。
2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出術
勝間和代さんが好きな私(←謎の告白)
好奇心の趣くままにあれこれトライしてそれなりに成果を出す突破力と、なにをするにしてもいちいち理屈っぽく喋るところが面白くて……
そんな勝間さんの片付け本は、片付け指南書というよりは、ガチな汚部屋脱出の記録です。
片付けられなかった理由も、片付けられた理由も理屈っぽく喋るのが超ウケる。勝間節をこよなく愛する方には必読の片付け本と言えましょう。
モノに埋め尽くされた勝間部屋がいつものごとく怒涛の突破力で片付けられていくのも爽快ですし、片付けない理由をことごとく論破していくのも小気味よい感じですね。片付けをしない言い訳をこねくりまわすタイプは発破をかけてもらえるかも。
私は先に勝間式超ロジカル家事を読んだので、こんな本を書ける人がまさか元は汚部屋の住人とは思っておらず、のけぞりました(笑)
片付けマインドを作るための本
自分を操る超集中力
これは片付けの本ではないけれど、片付けをすると様々なことがはかどる体験の裏側を、脳科学や心理学の観点から知ることができる本なのでついでに紹介。
本来は、集中力に自信がない人が集中力を高めるために手軽に取り組めるメソッドを理論込みで解説した本ですが、うちの夫はこれを読んで完全に片付けに目覚めたので、私の中では片付け本に分類。メンタリストDaiGoグッジョブ!
ちなみに片付け本も出ております。
人生を思い通りに操る 片づけの心理法則
こちらも読んでみましたが、この本のメインテーマは「人生を思い通りに操る」ことであり、片付けは手段でしかありません。
方法論としては一般的な「モノを減らす」、さらに「手間を減らす」ことにより「時間を増やす」。これを部屋だけではなく予定やタスクや人間関係にも応用することで、本当にやりたい仕事だけに時間や労力などのコストを集中投下するという流れで、次に紹介する「エッセンシャル思考」と通じるところがあると感じました。
エッセンシャル思考
これは片付け本というよりはビジネス書ですが、とても広い意味では片付けの本です。
大事なものを知り、不要なものを捨て、決めたことをスムーズにやり遂げるための考え方や行動、すなわち人生や仕事における「評価する/捨てる/仕組み化する」技術を解説しているのですが、これを自宅の片付けに適用すれば片付け本になります。
片付けをやると決め、大量のモノを評価し、不要なものは捨て、二度と散らからない仕組みを作るのが片付けの目的。この本には片付けのノウハウはたとえ話程度にしか載っていませんが、片付けマインドを作る点では参考になります。
片付けの勢いがつき始めると片付けばっかりしてしまったり、目的を見失って片付けのための片付けになったりという本末転倒も起こりますが、自分がいちばん大切にしたいものがなにか、大切なもののために適切な行動を選択できているかを時々問い直すことで軌道修正することも重要かと。
ただでさえ時間がなく、毎日がとても稀有な子育て期間、その一方で仕事もしたいワーママとしてはスキルアップのための時間も欲しい。だからこそ本当に大切なことだけを大切に暮らせるようになりたいな~と思います。
ちなみにこの本、マンガ版もあり手軽ですが、片付けの文脈で読むならば通常版がおすすめです。
断捨離シリーズ
最後ですがド定番の断捨離シリーズ。
これを最後に持ってきたのは、あまり素人向けではないからです……
断捨離というと「捨てる」ことだけフォーカスされがちですが、断捨離のキモは捨てるところではありません。
捨てるのはあくまでも入り口で、それ以上に重要なのが自分にとって不要なモノやコトとの関わりを断つこと、さらには、とらわれた状態から離れること。離に到達して初めて断捨離だと私は解釈しているんですが、最初からそこを目指すと要求レベルが高すぎる。
私ね、実は片付け初期に「捨」のレベルでモタモタしていて、片付けられない自分を省みてへこむばっかりだった実績があるんです。なので、片付け素人向けの本ではないと思っています。
ある程度部屋を片付けることができた今は共感する部分は大きいですし、他人軸ではなく自分軸で、過去でもなく未来でもなく今にフォーカスするという在り様は、私の愛してやまないアドラー心理学トーキングセミナーであるとか、過去のトラウマ治療の過程でそれとは知らず実践していたマインドフルネスとかなり共通する部分があります。
これは断捨離シリーズ特有なわけではなく、エッセンシャル思考や、他の片付け本にも共通の思想です。ただし片付けが精神修養であることをここまで前面に打ち出しているのは、断捨離シリーズの特徴ではなかろうか。
ノウハウ面は他の片付け本の方が具体的で使いやすいので、片付け初期の必読書とは言いません。片付けがある程度進んでからの方が、自分が何を成し遂げようとしているのかよく分かると思います。
結局、おすすめの片付け本ってどれなのよ?という話
片付け本は1冊あればいいと冒頭で宣言しつつ、こんなに並べたあたりが片付けが苦手な証左のようでアレですが、個人的に1冊ベストを選ぶとするならば!
理想像としておすすめの片付け本
部屋の間取りが似ている観点で、無印良品と始めるミニマリスト生活
この記事の中でも何度か書きましたが、片付けは目的ではなく、人生をよりよくするための手段。その先でどういう暮らしをしたいか、具体的なイメージがないとやる気も出ません。
なので、こうなりたい!という図は片付けに取りかかる前に一度は描いた方がよいです。
理想の住まいや暮らしは人それぞれですが、狭くて古い団地暮らしで、なるべくシンプルに暮らしたい私は、この本を理想の暮らしとして掲げています。
居住環境やライフステージが変われば理想もまた変わると思いますが、そのたびごとに明確な理想像を描ければなあと思います。
ノウハウを知るためにおすすめの片付け本
即効性の観点で、奇跡の3日片付け
私は元々片付けが苦手なので、ある程度の即効性を感じられないとやる気が持続しませんでした。片付け下手がスタートダッシュして波に乗るためには、やっぱり即効性が命。
というわけで、ノウハウ本としてはわが家にもっとも素早く効いたこの本を推します。騙されたと思ってやってみて、バックヤード・ファースト!
マインドを作るためにおすすめの片付け?本
人生への応用の観点で、エッセンシャル思考
片付け初期に躓きがちなのが不要品を思い切って捨てる行為。過去への執着や未来への不安が強く、自分の意志があまり明確でないタイプはこれが本当に苦手です。まあ私のことなんですが。
でも、自分にとって本当に大切なものを能動的に選ぶことを覚えるだけで改善することもあるのでお試しください。最初は痛みが伴うけれど、私はこれで変わりました。
おしまい。